GET AWAY TRIKE !

恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

獣脚類

When Dinosaurs Roamed Appalachia ②

↑上段:ドリプトサウルス・アクイルングイス 中段左:“コエロサウルス”・アンティクウス 中段右:“ドリプトサウルス”・マクロプス 下段:アパラチオサウルス・モントゴメリエンシス Top, Dryptosaurus aquilunguis(after Brusatte et al., 2011); Middle lef…

恐ろしい手

↑Lee et al., 2014より、デイノケイルス・ミリフィクスの骨格図。 a, MPC-D 100/127. b, MPC-D 100/128. c, 合成骨格図 スケールは1m Skeletal reconstruction of Deinocheirus mirificus. From Lee et al., 2014. Scale bar is 1m. しばらく前にデイノケイ…

中央アジア幼体奇譚

↑“ラプトレックスRaptorex”、タルボサウルス幼体MPC-D 107/7、 “シャンシャノサウルスShanshanosaurus”の骨格図。 MPC-D 107/7は写真を元に描き起こしており、プロポーションや寸法は微妙なところ Raptorex, modified from Paul(2010). Tarbosaurus, based o…

迂闊な皇帝陛下

↑“ディナモサウルス・インペリオススDynamosaurus imperiosus" BMNH R7994(旧AMNH 5866)の左歯骨(内側面) ティラノサウルスと言えば、今日に至るまでにいくつかの属をジュニアシノニムとして取り込んできた。その中に、タッチの差で先取権を得ることので…

”アラモティラヌス”覚書

以前の記事などでも簡単に触れたが、アメリカ・ニューメキシコ州のオホ・アラモ層産のティラノサウルス類が“アラモティラヌス・ブリンクマニAlamotyrannus brinkmani”として命名されるようである。昨年(2013年)秋の時点で記載論文はどうやらin Pressとなっ…

スピノサウルスの新復元

http://scienceblogs.com/gregladen/files/2014/09/F2.large_-620x589.jpg ↑スピノサウルス・エジプティアクスSpinosaurus aegyptiacus 全長は15mほど。 赤色で示された部分が実際に発見されている部位である。scienceblogs.comより 先日の記事で速報的に紹…

マレーエフの落とし子

↑“マレエヴォサウルス・ノヴォジロヴィMaleevosaurus novojilovi” PIN 552-2の骨格図。 体骨格はほぼ完全であるが、実際にはいくつか欠けている骨があるので注意。 スケールは1m どうにか無事に(何回か命の危険を感じなかったわけでもないが)帰ってこれた…

アパラチアの暴君たち

↑アパラチア産ティラノサウロイドの骨格図 上:ドリプトサウルスDryptosaurus ANSP 9995+AMNH 2438 下:アパラチオサウルスAppalachiosaurus RMM 6670 決してメジャーとは言えないドリプトサウルスであるが、本ブログではすでに2回取り上げている(筆者の…

スピノサウルス新復元

http://events.nationalgeographic.com/media/images/photos/Spinosaurus_Inline.png ↑新たに製作された「full-scale model of Spinosaurus」 ナショナルジオグラフィックより ご存知の方も多かろう。スピノサウルスの新復元が(わずかに)公開され、話題と…

ブラック・ビューティー

↑ブラック・ビューティーことティラノサウルスRTMP 81.6.1 スケールは1m 復元骨格とは頸椎や胴椎(そして肋骨)の相当部位が異なっている。参考にした資料と実際の復元骨格とどちらが妥当か筆者には判断する術がない そういえば、肝心のティラノサウルス(の…

試作型ティラノサウルス科(?)

↑シオングアンロンの模式標本FRDC-GS JB16-2-1 他に第11、12胴椎も発見されている。スケールは1m さて(唐突)、賢明な読者の皆様はとっくにお気付きであろう。筆者は中途半端なティラノサウルス類が大好きである。ドリプトサウルス愛は以前書いたとおりであ…

ハツェグの龍

↑バラウルの模式標本EME VP.313 非常に退縮した第Ⅲ指、それぞれ癒合した中手骨と中足骨、そして発達した第Ⅰ趾の末節骨に注意。wikipediaより ハツェグ盆地、すなわちルーマニアの上部白亜系(とりあえずマーストリヒチアンの前期、7000万年前ごろ)と言えば…

強引に復元してみるコーナー(第X回)

↑メガラプトル科の合成復元骨格図。 主にアエロステオンとアウストラロヴェナトル、メガラプトルに基づく。 全長は属によって差があるが、最大のもので10mほどと思われる。 頚肋骨、胴肋骨、腹骨、尾は省略した。 いつも以上に信憑性のない図であるので注意…

メガラプトルの幼体、そして・・・

↑メガラプトル・ナムヌアイクイイMegaraptor namunhuaiquiiの幼体(A)と ディロング・パラドクススDilong paradoxus(B)の頭骨 スケールは2cm。Porfiri et al., 2014より 読者の皆様にはご存知の方も多かろう。最近の論文でメガラプトラ(メガラプトル類)M…

南の国から

↑アメリカ南西部から産出した“ティラノサウルス・レックス” 解説は本文参照 先日のダスプレトサウルスの記事でちょっと触れたのだが、ここ数年ティラノサウルス科の細分が進んでいる。かつて古くからの属にひとくくりにされていた標本の再分類が進んだりなん…

ダスプレトサウルス一家の近況

↑ダスプレトサウルスおよび未命名の近縁種。 "Sir William"は後眼窩骨や頬骨なども発見されている。 また、MOR 590のスケールは正確ではない。 CMN 8506の胴肋骨は全て発見されているわけではない。部位ははっきりしないが 血道弓も発見されている。 Loewen …

コパリオンの向こう側

さて、トロオドン類Troodontと言えば、とりあえず白亜紀前期~後期のアジア、および白亜紀後期の北米が思い浮かぶ(ちょいちょいジュラ紀後期ごろのトロオドン類と思しき連中(アンキオルニスなど)が出ているのは皆様ご存じだろうが、正直あの辺りの系統は…

ララミディアのテリジノサウルス類

テリジノサウルス類Therizinosaurといえば、もっぱらアジアから化石が産出している。日本でも北海道や熊本から見つかっており、白亜紀のアジアではわりと普通にいたようだ。 さて、賢明な読者の方々は当然ご存じだろうが、近年北米からもテリジノサウルス類…

ジョーダンの獣脚類

↑“ジョーダンの獣脚類Jordan Theropod”ことLACM 28471。スケールは20cm 特に続けるつもりはなかったのだが、ナノティラヌス、ディノティラヌスと来たら残るはただ1つ、スティギヴェナトルである。 前々記事にて発掘の経緯については触れているので、ここでは…

“Dinotyrannus megagracilis”

↑LACM 23845の骨格図。スケールは1m このブログの読者の方であれば、“ディノティラヌス”という名前に聞き覚えのある方も多いのではないだろうか。90年代に颯爽と現れそして消えた恐竜の代表格であろう。 前記事で少し触れたのだが、改めてLACM 23845の来歴に…

"Cleveland Tyrannosaur"

↑“ナノティラヌス・ランセンシスNanotyrannus lancensis”の骨格図 (BMR P2002. 4. 1およびMontana Dueling Dinosaursの写真に基づく)と 模式標本CMNH 7541(復元された部位を灰色で示す) 例によってあまり信憑性はない(恐らく首はもっと長い)。スケール…

デイノケイルスの頭骨

ご存知の方はもうご存じであろう。ちょっと記事にするのをためらっていたのだが、速報的な形(速報でも何でもないが)で紹介しておきたい。 まずはこのリンクを見てほしい。(というか、このリンク先に書いてあることが全てである) 長らく「腕だけ(肩甲烏…

ピノキオ・レックス続き

↑チエンジョウサウルス・シネンシスQianzhousaurus sinensisの骨格図。 例によってあまり信憑性はない(尾はもう少し長くてもよかったか…?)。 スケールは1m 前記事で論文読んだら云々と大口をたたいた筆者であったが、なぜか筆者の通う大学にはサイエンス…

Qianzhousaurus sinensisあるいはピノキオ・レックス

http://cdn4.sci-news.com/images/enlarge/image_1907_2e-Qianzhousaurus-sinensis.jpg ↑チエンジョウサウルス・シネンシスQianzhousaurus sinensisの頭骨。 スケールは5cm sci-news.comより しばらく前に恐竜パンテオンさんでこんなニュース(ちょっとスク…

ラジャサウルス・ナルマデンシス

↑ラジャサウルスの骨格図。模式標本GSI 21141/1-33(の一部)、および追加標本(ナンバーなし?)を組み合わせたもの。スケールは1m(模式標本準拠) 模式標本にはこのほか部分的な肩甲骨、恥骨、脛骨なども含まれている。 あまり一般には知られていないよ…

バガラアタン

↑バガラアタン・オストロミBagaraatan ostromiの模式標本ZPAL MgD-I/ 108の 骨格図。スケールは1m 図示したほかに、尾椎が5つ、pedal phalanx Ⅱ-2とⅣ-1が発見されている。 ネメグトNemegt層といえばモンゴルを代表する地層の一つである。白亜紀の終わりごろ…

アンズー・ワイリーイAnzu wyliei

↑アンズーの骨格図(CM 78000と78001、MRF 319を組み合わせたもの) 発見された部位を白と灰色で示してある(灰色で示されているのはクローズアップが描かれている部位)。スケールはA:50cm、ほかは1cm Lamanna et al., 2014より しばらく前にこういう記事を…

ナヌークサウルス・ホグランディNanuqsaurus hoglundi

↑ナヌークサウルスの模式標本DMNH 21461 スケールはAでは10cm、B~Lでは5cm、Mでは1cm Fiorillo and Tykoski, 2014より 柄でもないが、速報的な記事を一発。 かねてから有名だった(?)「アラスカのゴルゴサウルス」が新属新種として記載された。ナヌークサ…

ティラノサウルス王位争奪戦

↑「最大級」のティラノサウルスの頭骨図。AMNH 5027は参考用。スケールは1m 一般に「最大のティラノサウルス」と言えば、「スー」ことFMNH PR 2081が挙げられる。ほぼ全身の骨格が発見されている(実質的に遠位尾椎がいくつか欠けているだけ)こともあるが、…

ドリプトサウルス今昔

↑ドリプトサウルス・アクイルングイスDryptosaurus aquilunguisの骨格図 模式標本ANSP 9995および同一個体と思しきAMNH 2438を示す さて、察しのいい方ならば、HNからして筆者がドリプトサウルス好きであることに気付かれたと思う。なんだかんだ幼稚園生だか…