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恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

ラジャサウルス・ナルマデンシス

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↑ラジャサウルスの骨格図。模式標本GSI 21141/1-33(の一部)、および追加標本(ナンバーなし?)を組み合わせたもの。スケールは1m(模式標本準拠)
模式標本にはこのほか部分的な肩甲骨、恥骨、脛骨なども含まれている。

 あまり一般には知られていないような気もするが、インドはなんだかんだ恐竜化石で有名である。古地理学的な特性も相まって、なかなか重要な化石揃い…なのだが、どいつもこいつも「問題児」ぞろいである。
 インドにはラメタLameta層(マーストリヒチアン前期、7000万~6900万年前ごろ)という有名どころが存在する。20世紀のわりあい早いうちから発掘が進んでいる地層であり、「ゴンドワナ型」の恐竜(ティタノサウルス類やアベリサウルス類)の産出で知られている。なかでもアベリサウルス類は多数が命名されている―――のだが、凄まじく混沌としており(前にブログで取り扱ったジュディス・リバーがかわいく見えるレベル)、とても筆者が解説できる代物ではない。(ググればその一端くらいはうかがえるであろう。あえてリンク先などは紹介しないので、自分で探してみよう!)

 さて、そんなラメタ層で発見された数少ない「まともな」獣脚類がラジャサウルス・ナルマデンシスRajasaurus narmadensisである。
 非常に丁寧な作りの復元頭骨が製作されており、見かけた方も多いことであろう。模式標本はバラバラになった部分骨格であり、頭骨要素は脳函のみである。復元頭骨のベースになったのは別の追加標本ということのようだ。

 いかんせん化石が断片的だったり(ティタノサウルス類のボーンベッドに模式標本が紛れていた)で、プロポーションについてきちんとしたことは何も言えない。ただ、足の短いがっしり型のアベリサウルス類であること(これは系統的にも支持される)は確かなようだ。頭骨もがっしり型のアベリサウルス類(=マジュンガサウルス)に近い。マジュンガサウルスの骨格図を参考にして上の骨格図を描いたのだが、どうやらマジュンガサウルスほど首は長くないらしい。後肢の短さはともかく、脊柱は相対的に短くなるように思える。

 実のところ筆者はインドスクスIndosuchusが結構好きだったりするのだが、もろもろの理由でブログに記事を書くのは難しそうだ(資料不足というのが第一なのだが…)。さほど思い入れのなかった(描いてるうちに好きになったけどさ)ラジャサウルスを記事にしたのはこういう事情があったりする。