GET AWAY TRIKE !

恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

2018-01-01から1年間の記事一覧

おわりのはじまり

大晦日である(齢を取るにつれ実感がわかなくなってきた)。職にありついたりなんだりで今年も色々あったのだが、まあなんとかさばいた格好である。 業界を振り返ってみれば、今年もミャンマーの琥珀が席巻した1年であった。翼竜の「羽毛」に関するかなり衝…

邪悪の種子

筆者は昔から悪だくみが得意科目だったクチだが、そういうわけでここ数ヶ月怪しい動きを見せているのは言わずもがなである。今年の3月から色々と(もっと言えば一昨年の秋から)現状では表沙汰にはできない新作が相当数あったりもして(芦別のティラノサウル…

夏の炎の竜

去年の秋からちらほら情報は出ており、また本ブログでもそこはかとなく度々取り上げてはきたわけだが、来年の7月13日(土)~10月14日(月)まで、国立科学博物館で恐竜博2019が開催されることが発表された(公式サイトはティザーもいいところだが、やたら解…

脆すぎた呪縛

↑Carpenter (2018)より、マラアプニサウルス(A)、レバッキサウルス(B)、ヒストリアサウルス(C)の胴椎(後面)の比較。スケールは50cm。 恐竜の分類が分類の体をなしていないという話(1属1種が多すぎる)はしばしばなされることで、実際問題として属名…

太陽に身を焦がす

「化石の日」である。こと日本においては今年が初めての試みではあるのだが、一応筆者も学界を追放されたわけではない(ちゃんと学会費は払っている)ので、便乗してもたぶん怒られることはないだろう。言うまでもなく自☆演☆乙なわけだが、そういうわけで(…

ラストエンデミズム【ブログ開設5周年記念記事】

↑Skeletal reconstruction of Dryptosaurus aquilunguis, the best-known late Maastrichtian dinosaur in "old" Appalachia, based on holotype and Triceratops horridus, typical chasmosaurine in mid-late Maastrichtian "old" Laramidia, based on SDS…

【開設5周年記念特別寄稿】板橋の若武者

↑Skeletal reconstruction of Triceratops horridus in Itabashi Science and Education Museum. Scale bar is 1m. このブログの読者の方々には言うまでもないことだろうが、現在日本の博物館で見られる恐竜の骨格の多くはレプリカが大半である(実物化石を…

気が付けば

ちょっとした思い付きとあてどもなく描き溜めていたポールやフォードのまねごとの流用でブログを立ち上げてから、早5年が経ちました。ちょっとした思い付きにしては長続きしたわけで、これからも気ままに気まぐれに書き散らかしていきたいところです。 一昨…

新しい風

↑Skeletal reconstruction of Neovenator salerii holotype (MIWG 6348 and NHMUK 10001). Scale bar is 1m. ネオヴェナトルといえば、筆者(94年生まれ)が子供の頃に出た図鑑で「最近見つかった新種」の代表格だった覚えがある。曲者かつ古参ぞろい(最近…

性懲りもなくむかわ竜についてgdgdと

先日の特番(再放送もBSということで、持たざる者は結局オンデマンドに頼るほかないようだ)はすべて一連の計画のうちであったらしい(このあたり、色々な流れというか動きが見える)。クリーニングの終わった(厳密にいえば、まだ(そして究極的にはひょっ…

孤独の海

↑Skeletal reconstruction of Nipponosaurus sachalinensis holotype UHR 6590. Scale bar is 1m. 今でこそ「恐竜研究(というか中生代の大型化石爬虫類全般)」が行える研究機関は日本でもみられるようになったが、かつては――研究対象を世界に求めることの…

こくち

というわけで救済策再びである。pixivのアカウントが必要になるのが申し訳ないところなのだが、そういうわけで浅草に行けなかった人はこちらで手に入れてほしい。

むかわ竜についてgdgdと

またである。またであるのだが(あえてバーボンハウスは貼らない)、前回から丸1年は経っているので許してほしい。 来週水曜日にNHKの恐竜番組があるのはさておき(例によってCGがむごいようだ;給料から受信料が天引きされている筆者である)、問題は番組の…

全滅した話

全滅エンド(主に黒富野)に慣れ過ぎた結果オルフェンズの二期であんがいレギュラーに死者が出なかった感のある筆者なのはさておき(ユージンとチャド推しだったのでどっちも生き残っていたということもある)、第二回古生物創作合同展示会はありがたいこと…

特別展「獣脚類 鳥に進化した肉食恐竜たち」レポ

7月も下旬である。水面下でまたしてもよくない動きを見せている筆者だったりしてブログの更新がほったらかし気味ではあるのだが、首尾よく早いうちに福井県立恐竜博物館の特別展(そういえば今年は年頭にこの手の紹介記事を書きそびれた)、「獣脚類 鳥に進…

背負わされた名の重み

↑Skeletal reconstruction of Fukuiraptor kitadaniensis holotype FPDM-V 97122 (top) and Australovenator wintonensis holotype AODF 604 (bottom). Scale bars are 1m. 2000年に命名されて以来、フクイラプトル・キタダニエンシスは常に「恐竜王国福井」…

カルノサウリアとコエルロサウリアの狭間で

↑Top to bottom, COMPOSITE of derived megaraptora (Aerosteon, Murusraptor, Orcoraptor, Megaraptor); Aerosteon riocoloradense holotype MCNA-PV-3137; Murusraptor barrosaensis holotype MCF-PVPH 411; Megaraptor namunhuaiquii adult (composite of…

わるい話

6月である。おかげさまで同人誌の在庫は全滅し(絶賛vol.2の単行本作業中なのでこちらの更新ペースが露骨に落ちるのは許してほしいところ)、元手ができた以上何かと悪だくみもはかどるわけである。 そういうわけで3月からこっち、色々と楽しい目にあってい…

王たちの冠

↑Skeletal reconstructiopn of Guanlong wucaii IVPP V14531 (holotype). Scale bar is 1m. 広義のティラノサウルス類(ティラノサウルス上科)がカルノサウルス類――アロサウルスと同じ系統ではなく、コエルロサウルス類に位置付けられるようになったのは、…

黄昏色に染まるころ

↑Composite skeletal reconstruction of Torvosaurus tanneri. Based on Dry Mesa specimens and FMNH PR 3060. Scale bar is 1m for Dry Mesa specimens (large). トルヴォサウルスといえば、恐竜博2002での復元骨格の展示を皮切りにわりかしメジャーの座に…

年度内に出なかった話

新年度である。諸事情で身柄を拘束されている筆者だが、すべての人に人権はあるわけで(あるべきなのだ)、色々とやれることはあるわけである。 さて、印刷の遅れ(たぶん)でまだ出版されていないのだが、それでも今週のうちに某博物館の紀要として出版される…

亡失のエロージョン

↑Skeletal reconstruction of cf. Anchiceratops sp. CMN 8547. Scale bar is 1m. ケラトプス科角竜といえばバラエティーに富んだ頭骨が最大の魅力であろうが、どうしても頭骨の話に終始しがちである。首から後ろについては「基本的にどれも同じ」とさえ言い…

めざめるかいぶつ

↑Composite skeletal reconstruction of Medusaceratops lokii (scaled as ROM 73831) with skull of Albertaceratops nesmoi TMP 2001.26.1 (holotype). Scale bars are 1m. 本ブログをもともと角竜専門のつもりで立ち上げたというのは古参読者(何)の方に…

陽の当たる場所へ

Skeletal reconstruction of Thescelosaurus neglectus (composite; scaled as "Willo" NCSM 15728) and Thescelosaurus garbanii (holotype LACM 33542). Scale bar is 1m. テスケロサウルスといえば白亜紀最末期を代表する小型(というにはやたら大きいの…

流れ着く先

Composite skeletal reconstruction of Hypsilophodon foxii. Scale bar is 1m for adult specimen NHMUK R5829. ヒプシロフォドンといえば「小型鳥脚類」の代名詞であり、その典型として常に恐竜図鑑を飾ってきた。それもそのはず19世紀から複数の骨格がよ…

ゆりかごから墓場まで

↑ティラノサウルスとタルボサウルスの成長過程。下から、 タルボサウルス・バタール MPC-D 107/7 “ラプトレックス・クリーグスタイニ” LH PV18 “スティギヴェナトル・モルナーリ” LACM 28471 “マレエヴォサウルス・ノヴォジロヴィ” PIN 552-2 タルボサウルス…

懐かしき東方の血

↑Skeletal reconstruction of Tanius sinensis holotype PMU 24720. Scale bar is 1m. あけましておめでとうございます。今年も変わらずGET AWAY TRIKE !をよろしくお願いします。 それでは諸君、都合二回目のタニウスの記事だ、行ってみよー! タニウス――今…