GET AWAY TRIKE !

恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

角竜

閃光

↑Skeletal reconstruction of Furcatoceratops elucidans holotype NSM PV 24660 ("AVA", formerly RMDRC 12-020) and some other closely related specimens. 恐竜博2023にてお披露目された国立科学博物館所蔵の「ケラトプス科の未記載種」はナストケラトプ…

お前が大きくなあれ

↑Skull reconstructions of Pachyrhinosaurus spp. Scale bars are 1m. 2010年代から始まった怒涛の角竜の命名ラッシュにより、ケラトプス科はずいぶんと構成メンバーの数を増やした。ド派手な装飾を備えたものがずいぶん目に付くようになったその中にあって…

U.S.トロサウルスはトリケラトプスなのか?

↑Selected specimens of "Lancian" Torosaurus. EM P16.1 is dorsoventrally flattened. トロサウルス属の独立性についての議論が活発だったのは最初の数年のうちであり、ここ7、8年は表向きだいぶ沈静化していた(スキャネラが「Triceratops sp.」というよ…

モノクロニウスの影

↑Some skulls of "Monoclonius". Scale bars are 1m. AMNH 5239 is the holotype of Monoclonius flexus. 角竜の研究が始まって150年が過ぎようとしているが、その中にあって、初期の研究の産物を代表するものがモノクロニウスである。筆者くらいまでの世代…

Wild and Horned Hermit

↑Some skulls of Triceratops. Scale bars are 1m. 命名から130年以上もの間、トリケラトプスは常に角竜の代表であり続けてきた。長きにわたる研究の中で紆余曲折が繰り返されたが、それでも恐竜時代の最後を飾る徒花として今日も第一線に立ち続けている。 …

トロサウルスの向こうへ

↑Skeletal reconstruction of Sierraceratops turneri holotype NMMNH P-76870. Scale bar is 1m. 北米南西部の最上部白亜系、つまりララミディア南部の白亜紀末の地層における恐竜相の話はかつて本ブログで散々に取り上げてきた。どれもこれも断片的かつ保…

私雨、その後に

↑Skeletal reconstruction of Triceratops horridus "LANE" HMNS PV.1506. Scale bar is about 1m. 古くから知られている恐竜の場合、古くから知られていること――現代的な記載に基づく分類群でないことそのものが厄介な問題を引き起こすことは本ブログで散々…

失われた者たちへの鎮魂歌

↑Skeletal reconstruction of famous Smithsonian trikes. Top, Triceratops horridus USNM 2100; bottom, Triceratops sp. USNM 4842. Scale bar is 1m. スミソニアン――本ブログの読者にはたぶんUSNMと言った方が通りがよい――の恐竜展示の歴史は当然古く、…

【開設5周年記念特別寄稿】板橋の若武者

↑Skeletal reconstruction of Triceratops horridus in Itabashi Science and Education Museum. Scale bar is 1m. このブログの読者の方々には言うまでもないことだろうが、現在日本の博物館で見られる恐竜の骨格の多くはレプリカが大半である(実物化石を…

亡失のエロージョン

↑Skeletal reconstruction of cf. Anchiceratops sp. CMN 8547. Scale bar is 1m. ケラトプス科角竜といえばバラエティーに富んだ頭骨が最大の魅力であろうが、どうしても頭骨の話に終始しがちである。首から後ろについては「基本的にどれも同じ」とさえ言い…

めざめるかいぶつ

↑Composite skeletal reconstruction of Medusaceratops lokii (scaled as ROM 73831) with skull of Albertaceratops nesmoi TMP 2001.26.1 (holotype). Scale bars are 1m. 本ブログをもともと角竜専門のつもりで立ち上げたというのは古参読者(何)の方に…

動く要塞

↑Composite skeletal reconstruction of Styracosaurus albertensis. Based on CMN 344 (holotype) and AMNH 5372. Scale bar is 1m for holotype. スティラコサウルスといえば古くからトリケラトプスと並んで恐竜図鑑を飾ってきた古参の角竜であり、今もっ…

白亜紀のオウム①

↑Composite skeletal reconstruction of Psittacosaurus mongoloiensis (top) and P. sinensis (bottom). Scale bar is 1m. P. mongoliensis largely based on AMNH 6254 (holotype) and AMNH 6253 (holotype of "Protiguanodon mongoliense"). P. sinensis …

最大とよばれて

↑Skeletal reconstruction of "Triceratops maximus" holotype AMNH 5040. Scale bar is 1m. ヘル・クリークHell Creek層といえば本ブログの読者の方には説明不要だろう。アメリカ西部はモンタナ州からノースダコタ、サウスダコタ州にかけて分布する、アメリ…

モノクロニウスの鼓動

↑Skeletal reconstruction of "Monoclonius lowei" CMN 8790. Scale bar is 1m. たまにはサクッとした記事を書こうと思ったわけである(理由はあんまりない)。いい加減最近クソ長い記事が板についてきた(書くのがしんどいのでよくない傾向である)ので、初心…

装飾戦

↑Skeletal reconstruction of Sinoceratops zhuchengensis. Based on ZCDM V0010 (holotype) and ZCDM V0011 (paratype). Scale bar is 1m for holotype. シノケラトプスの記事は過去何度も書いた気がするのだが、要するに新しい資料(福井県博の特別展レポ…

荒れ野に死体の山ひとつ

↑Composite skeletal reconstructions of Agujaceratops spp.. Young adult skeleton of A. mariscalensis is based on holotype UTEP P.37.7.086 (maxilla, supraorbital horncore and dentary), TMM 46502-1 (premaxilla), TMM 46501-1, UTEP. P.37.7.065 …

来訪者

最近アパラチア絡みの記事が妙に多いので、眉をひそめられている方も少なくないだろう(ぇ これには訳があったりなかったりするのだがそれはさておき、ミシシッピ州―――つまりアパラチアからとんでもないものが発見された。 発見された化石についてはここで語…

Demystify feast

↑Skeletal reconstruction of Spiclypeus shipporum holotype CMN 57081. Scale bar is 1m. 5月も半ばを過ぎてしまった。その間筆者は何をしていたかと言えばあちこち飛び回っていたりで結構忙しかった(ことにしておく)のである。あとひと月ちょいで福井に…

迷子のカスモサウルス

↑Skeletal reconstruction of Chasmosaurus belli UALVP 52613 (juvenile). Scale bar is 1m. 年が明けて気が付いてみれば恐竜博2016までもう一か月を切っているのが恐ろしい。例によって恐竜博2016で日本初公開となる化石がいくつも存在する(贅沢な話であ…

イスチオケラトプスIschioceratops

↑Ischioceratops zhuchengensis ZCDM V0016 (holotype). From He et al. (2015) 久方ぶりの更新である(年内にもういっぺんくらいは更新できそうだ)。いかんせん卒論の執筆が佳境に入っているわけで、色々とご容赦願いたいところである。新年一発目の記事は…

ユタの名無したち

↑A, UMNH VP 20600 (Wahweap centrosaurine A); B, UMNH VP 20550 (Wahweap centrosaurine B); C, UMNH VP 9549 (Wahweap centrosaurine C); D, UMNH VP 20949 (Kaiparowits centrosaurine B) . From Loewen et al. (2013) まさかの3週間放置である。その間…

トロサウルスの帰還

トロサウルスと言えば、ここ数年の騒動は記憶に新しい。トロサウルスのシノニム騒ぎが筆者に与えた影響は色々な意味で大きかったりもして、本ブログの立ち上げにけっこう絡んでいたりもする。 そんなこんなで「トリケラトプスのジュニアシノニム」となる可能…

アパラチアの角竜

Black Creek ceratopsian, YPM-PU 24964, left maxilla. A, medial, B, ventral, C, lateral, D, dorsal view. From Longrich (2015). さんざんアパラチアの恐竜について取り上げてきた本ブログであるが、こういうネタにはやはり飛びつかざるを得ない。角竜…

モザイケラトプス・アズマイMosaiceratops azumai

↑Mosaiceratops azumai ZMNH M8856 (holotype). Left lateral view of skull (a), right lateral view of skull (b), and skeletal reconstruction (c). Scale bar is 10cm. Modified from Zheng et al. (2015) 懸案事項は星の彼方に吹き飛ばした筆者である…

アヴァケラトプス覚え書き

マイナー恐竜もいいとこのアヴァケラトプスだが、ここにきてにわかに注目度が高まっている(そんなこともない)。かねてよりロッキー山脈恐竜資源センター(というと大仰だが、つまるところトリーボールド社の発掘・展示部門である)が復元を進めてきたモン…

3+2

ペンタケラトプスといえば、わりあいに昔から恐竜図鑑の角竜のページを飾っていた。ここ4、5年で激増した角竜(特にケラトプス科)だが、このあたりの「古典派」はやはり落ち着くものである。 もっとも「古典派」とはいうものの、ペンタケラトプスはトリケラ…

オストロムのトリケラトプス

↑Skeletal reconstruction of Triceratops "brevicornus" BSP 1964 I 458 (formerly YPM 1834). Scale bar is 1m. 北海道の山奥へ行っていたり別件で参っていたりしてかれこれ2週間近くほったらかし(な上にまともな仕込みができていない)なわけである。9月…

森に棲むデュラハン

↑Skeletal reconstruction of Agathaumas sylvestris AMNH 4000. Scale bar is 1m. 角竜の化石といえば頭骨ばかり・・・ということは読者のみなさまもとうにお気付きのことだと思う。多くの角竜がほとんど頭骨のみに基づいて命名されていたりもするのだが、実の…

ウェンディケラトプス

↑Composite skeletal reconstruction of Wendiceratops pinhornensis. Recovered elements represented by blue. From Evans and Ryan(2015). 何度かこのブログでも取り上げている(嘆いている)が、ケラトプス科の初期進化に関する化石記録はかなり少ない(…