GET AWAY TRIKE !

恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

2014-01-01から1年間の記事一覧

ペンタケラトプス・アクイロニウスPentaceratops aquiloniusなどなど

↑Longrich, 2014より、カスモサウルス亜科Chasmosaurinaeの系統図 ヴァガケラトプスVagaceratopsがカスモサウルス属に戻されている点に注意 さて、トリケラトプス属の変遷についてようやく論文が出たわけで、記事にするチャンスをうかがっていた矢先である。…

ヌオエロサウルス、あるいはヌーロサウルスの幻影

↑香港科学博物館に展示されている“ヌオエロサウルス”、あるいは“ヌーロサウルス”の復元骨格 wikipediaより 突然であるが、筆者の地元の博物館のシンボル展示のひとつが“ヌオエロサウルス・チャガネンシスNuoerosaurus chaganensis”(今日ではもっぱらヌーロ…

試作型ティラノサウルス科(?)

↑シオングアンロンの模式標本FRDC-GS JB16-2-1 他に第11、12胴椎も発見されている。スケールは1m さて(唐突)、賢明な読者の皆様はとっくにお気付きであろう。筆者は中途半端なティラノサウルス類が大好きである。ドリプトサウルス愛は以前書いたとおりであ…

ハツェグの龍

↑バラウルの模式標本EME VP.313 非常に退縮した第Ⅲ指、それぞれ癒合した中手骨と中足骨、そして発達した第Ⅰ趾の末節骨に注意。wikipediaより ハツェグ盆地、すなわちルーマニアの上部白亜系(とりあえずマーストリヒチアンの前期、7000万年前ごろ)と言えば…

ティタノケラトプス、あるいはただのペンタケラトプス

↑OMNH 10165の骨格復元図。上が「有効なトリケラトプス族の角竜として」復元したもの、下は「ペンタケラトプスとして」復元したものである。椎骨や肋骨も複数知られているが割愛した。 ティタノケラトプス・オウラノスTitanoceratops ouranosと言えば、最近…

クリンダドロメウス、クリンダプテリクス、ダウロサウルス

本業(腐っても学部生)が忙しかった関係で、久しぶり(でもない)の投稿である。大きく(?)報道されたのでご存知の方も多かろう。記載論文の掲載がサイエンスとのことで、そのうち大学で読めるだろう。多分。 クリンダドロメウス・ザバイカリクスKulindad…

世界最大の恐竜博2002始末記 延長戦

↑カテトサウルス・ルイシCathetosaurus lewisiの復元骨格SMA 0002 wikipediaより 思わぬところで新たな話題が飛び込んでくるものである。“モアボサウルス”で恐竜博2002始末記を終えるつもりだったのだが、実はうっかり気付いていない新情報があった。忘れな…

ヘル・クリークのパラサウロロフス?

さて(唐突)、筆者はランス期(白亜紀後期マーストリヒチアン後期)の北米が一番好きである。ティラノやらトリケラやら有名どころの宝庫だったり、そうかと思えばちょこちょこマイナー種(どころか名前も付いていない連中)もいるので、その辺のバランス(…

ヨコハマ恐竜展2014 ~新説・恐竜の成長~

意外と夏休みの予定が詰まっていたり土日に行くのもリスキーなわけで、開催初日に殴りこんできたわけである。ざっくりとではあるが、レポートしたい。 ***おことわり*** 筆者はトロサウルス―トリケラトプス問題、およびナノティラヌス―ティラノサウル…

世界最大の恐竜博2002始末記⑥+世界の巨大恐竜博2006

一応、世界最大の恐竜博2002始末記は今回でおしまいである。〆はやはり竜脚類となった。 さて、“モアボサウルス・ユタエンシスMoabosaurus utahensis”をご存じだろうか。世界の巨大恐竜博2006にて、記載準備中の北米産ティタノサウルス類として復元骨格(キ…

世界最大の恐竜博2002始末記⑤ セイスモサウルスの行方

↑Lucas et al., 2006より、“セイスモサウルス”の記載された骨要素を示す。 尾椎に割り振られた番号の変化に注意 さて、いよいよ大本命である。世界最大の恐竜博2002の目玉だったのが、“セイスモサウルス・ハロルムSeismosaurus hallorum”である。色々と日本…

世界最大の恐竜博2002始末記④

前回から間が開いてしまったが、恐竜博始末記第4弾である。今回は、「オスニエリア」についてつらつらと書いていきたい。 さて、モリソン層の鳥脚類といえば、あなたはいくつ挙げられるだろうか。最近になって種類が増えたりでややこしいが、オスニエリアは…

ヨコハマ恐竜博2014 ~新説・恐竜の成長~

2日連続で特別展のステマじみた記事である。いろいろ立て込んでたからね、仕方ないね。 ヨコハマ恐竜博の開催まであと1週間である。7/16(水)~8/28(木)までとあまり会期がないので、行き忘れの無いように注意されたい。 さて、よく考えたら過去2回この話…

太古の哺乳類展についてgdgdと

気が付けば今週末から国立科学博物館にて「太古の哺乳類展」が開催される(とは言っても、週末の関東はなんか台風でヤバそうな気もする。集中講義どうすんだよ大学ェ…)。今まで哺乳類の話は扱ってこなかった本ブログであるが、もちろん筆者は化石哺乳類も大…

世界最大の恐竜博2002始末記③

某所で色々とアレな上によからぬ話題が出ている(ジェホロサウルス科はまだしも今さらヒプシロフォドン科ってあんたぁ…。や、羽毛自体についてはとりあえず異論はないんだけどさ。っつーかゴデフロイトはノータッチだったんかい!色々な意味でヤバすぎだろJK…

世界最大の恐竜博2002始末記②

第2弾はいきなりマイナー(?)ネタである。図録の27ページとひろさんのブログだ、行ってみよー! 恐竜博2002ではハウ発掘地で発見された複数の竜脚類の化石が展示されていたのだが、そのうちのひとつが「ディプロドクス類」である。 ハウ発掘地のHクオリー…

世界最大の恐竜博2002始末記①

「世界最大の恐竜博2002」と言えば、恐らく古参の方々は深い感慨を覚えることであろう。94年生まれの筆者にとっては初めての「恐竜博」であったという意味で特別なのだが、古参の恐竜ファンの方々からすれば非常に特別な意味をもってくるのではないだろうか。…

ものすごくどうでもいい話

おかげさまで気が付けば1万アクセス達成である。応援、ありがとー!(cv. 劇団近代座) で、とくに記念記事的なネタは用意していなかった筆者である。またしても酒の勢いで、gdgdと取り留めもないことを書くが、その辺は許してほしい。 さて、ひとくちに「恐…

ジュディス・リバーの悪夢ふたたび

↑ジュディス・リバー層産角竜。ほとんどが断片的な標本に基づいている。 メガラプトル科の合成骨格図が妙に大反響でビビった筆者であるが、本当はメガラプトルの記事を書くつもりはなかった(速報的なノリで挟んでみた結果である)。本来こっちを先に記事に…

強引に復元してみるコーナー(第X回)

↑メガラプトル科の合成復元骨格図。 主にアエロステオンとアウストラロヴェナトル、メガラプトルに基づく。 全長は属によって差があるが、最大のもので10mほどと思われる。 頚肋骨、胴肋骨、腹骨、尾は省略した。 いつも以上に信憑性のない図であるので注意…

メガラプトルの幼体、そして・・・

↑メガラプトル・ナムヌアイクイイMegaraptor namunhuaiquiiの幼体(A)と ディロング・パラドクススDilong paradoxus(B)の頭骨 スケールは2cm。Porfiri et al., 2014より 読者の皆様にはご存知の方も多かろう。最近の論文でメガラプトラ(メガラプトル類)M…

南の国から

↑アメリカ南西部から産出した“ティラノサウルス・レックス” 解説は本文参照 先日のダスプレトサウルスの記事でちょっと触れたのだが、ここ数年ティラノサウルス科の細分が進んでいる。かつて古くからの属にひとくくりにされていた標本の再分類が進んだりなん…

ちょっと危ない話(でもないか)

今回のネタはちょっと危険かもしれない(が別にそうでもないかもしれない)。そもそもこの間の東京国際ミネラルフェアに行かれた方にしか通じない話かもしれないが、ご容赦願いたい。とりあえず何も知らない筆者が書き散らかしているだけなので、いつも以上…

マグナパウリア、あるいは伝説の巨大ランベオサウルス

↑マグナパウリア・ラティカウドゥスMagnapaulia laticaudusの骨格図 (コンポジット)及び模式標本と最大の標本のサイズ比較。発見部位を白で示す。 未発見のクレストが「コリトサウルス型」に復元されている点に注意。 Prieto-M?rquez et al., 2012より ラ…

ダスプレトサウルス一家の近況

↑ダスプレトサウルスおよび未命名の近縁種。 "Sir William"は後眼窩骨や頬骨なども発見されている。 また、MOR 590のスケールは正確ではない。 CMN 8506の胴肋骨は全て発見されているわけではない。部位ははっきりしないが 血道弓も発見されている。 Loewen …

A Triceratops named ”Raymond"

↑レイモンドことNSM-PV 20379の骨格図。骨化腱のほか尾椎もいくつか発見されているが省略した。スケールは1m。 国立科学博物館に行かれたことのある方は多かろう。地下の恐竜ホールは非常に気合の入った作りであり、いくつかの重要な標本が展示されている。…

コパリオンの向こう側

さて、トロオドン類Troodontと言えば、とりあえず白亜紀前期~後期のアジア、および白亜紀後期の北米が思い浮かぶ(ちょいちょいジュラ紀後期ごろのトロオドン類と思しき連中(アンキオルニスなど)が出ているのは皆様ご存じだろうが、正直あの辺りの系統は…

gdgd骨学 角竜その2

↑トリケラトプス・ホリドゥスの骨格図。様々な部分的な資料に基づく。 頭骨とプロポーション、大きさはTCM 2001. 93. 1に合わせてある。 スケールは1m その1を書いてからだいぶ経ってしまったのだが、どっこい第2弾である。前回と同様、骨学何それおいしいの…

ちょっと最近思ったこと

素人が酒の勢いで書く話である。延々とまとまりのない話で申し訳ないが、そのあたりは許してほしい。 ちょっと最近思ったこと。 恐竜に限らず、化石脊椎動物は、条件(化石の保存状態、需要、サイズなど)が揃えば復元骨格が製作される場合が多い。たいがい…

ヨコハマ恐竜展2014についてgdgdと

さて、来週は東京国際ミネラルフェアなわけで、土曜と日曜のどっちに行くか悩み中(というか、高校の文化祭の助っ人に行く可能性もあるのでそっちと応相談である。前売買わにゃ…)なのだが、今回はミネラルフェアではなくヨコハマ恐竜展についてgdgdと書…