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恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

ヌオエロサウルス、あるいはヌーロサウルスの幻影

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↑香港科学博物館に展示されている“ヌオエロサウルス”、あるいは“ヌーロサウルス”の復元骨格 wikipediaより

 突然であるが、筆者の地元の博物館のシンボル展示のひとつが“ヌオエロサウルス・チャガネンシスNuoerosaurus chaganensis”(今日ではもっぱらヌーロサウルス・チャガネンシスNurosaurus qaganensis”と書くことが多い。いずれにしても未記載なのだが)である。ここまで書いた時点で色々察した方も多かろうが、今回はこの恐竜について適当に書き散らかしていきたい。

 ヌオエロサウルス、あるいはヌーロサウルスが発見されたのは1985年のことであった。中国は内蒙古、シリンゴルはチャガンノールの天然ソーダ(炭酸水ではない)鉱山の地層(層名不明、1億3000万年前)から、ステゴサウルス類などと共に比較的完全な骨格が発見された。92年の春までに復元骨格が制作され、その後3体あまりキャストを量産して今に至っている。

 さて、本種はもともとカマラサウルス科の新属新種として考えられていた。骨盤と椎骨に原始的な特徴を留めているとされ、カマラサウルス科の中では屈指の巨体(全長26m…ただし尾の大半は欠けていたらしい)の持ち主とされていた。頭骨は後頭部(脳函?)と歯の付いた下顎の一部だけが発見されており、あとはカマラサウルス風味の模型である。

 本種の(仮の)命名やら何やらをめぐるごたごたは置いておいて(実際筆者の生まれる前だったりもして、このあたりは想像をたくましくするしかない。いずれにしても、かなりヤバい話も絡んでいそうな匂いがする)、本種はホアンヘティタンHuanghetitanとの類似性が指摘されている。ヌオエロサウルスはカマラサウルス科というより、もう少し派生的なティタノサウルス形類に分類しておくべきなのだろう。

 何だかんだ、ヌオエロサウルスを記載しようという動きが廃れたわけではないらしい。草稿は一応執筆中であるといい(20年前ならともかく、今となっては手近なところのティタノサウルス形類と比較しなくてはならないだろう)、復元骨格もちょこちょこ手直しが入っているようだ(リニューアルされた内蒙古自治区博物館の写真を参照。キャストというか完全に模型だった肩甲骨と腰帯が実物に忠実(おそらく腰帯は純骨を入れている)な出来になっている)。いつの日か正式に記載されることを信じて、今回の記事の〆としたい。