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恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

世界最大の恐竜博2002始末記①

「世界最大の恐竜博2002」と言えば、恐らく古参の方々は深い感慨を覚えることであろう。94年生まれの筆者にとっては初めての「恐竜博」であったという意味で特別なのだが、古参の恐竜ファンの方々からすれば非常に特別な意味をもってくるのではないだろうか。

 図録をめくってみるとその展示の質の高さに今なお驚かされるのだが、いかんせん12年前の話である。現在とは少々様子の異なっている部分もあり、このあたりは注意する必要があるだろう。というわけで久しぶりのシリーズものである。第1回目は、ステゴサウルスといきたい。図録をもってる前提で話を進めてしまうところが多々あるので、そのあたりは各自ググるなりして頑張ってほしい(殴 とりあえず、今回参考になるであろうリンク(PDF)を示しておくので、各自で参照されたい。

追記ひろさんのブログに連動記事として写真を掲載していただいた。会場の空気も味わえるであろう。ぜひ参考にされたい。

 さて、恐竜博2002では1体のステゴサウルス全身骨格(純骨を含む)が来日している。Moritzという愛称が付けられている本標本SMA 3074-FV01 (SMA M04)は四肢の大部分と部分的な頭骨、プレートと椎骨・肋骨少々からなっており、図録ではステゴサウルス・ステノプスStegosaurus stenopsとされていた。
 が、これはステゴサウルスではなかったらしい。比較的最近になって、Moritzはcf.ヘスペロサウルス・ミオシcf. Hesperosaurus mjosiに分類されている。

 図録にはハウ発掘地のボーンマップが載っており、非常に楽しい。MoritzはMクオリーの図にちゃんと載っているのだが、もう1体、Sクオリーのボーンマップに「ステゴサウルス」がいる。ビッグ・アル2と隣り合った状態で化石化しているこの標本(展示はされなかったのだが、図録でちょこっと触れられている。上のリンク参照)にはVictoriaという愛称が付けられている。
 Victoriaはステゴサウルス科の中でも有数の保存状態を誇る標本である。ほぼ全身が残っているだけでなく、皮膚痕(!)まで存在したのである。のちに組み立てられたVictoriaも、最近ヘスペロサウルス(cfではない)に分類された。

 ヘスペロサウルスはいまいち知名度が高くない(命名はかなり最近である)のだが、模式標本を始め、今回紹介した標本など、化石の質には恵まれているようだ。ヘスペロサウルス属の有効性については度々疑問の声が上がっているが、VictoriaやMoritzの研究から、ひとまず有効な属とされている。