GET AWAY TRIKE !

恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

ペンタケラトプス・アクイロニウスPentaceratops aquiloniusなどなど

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Longrich, 2014より、カスモサウルス亜科Chasmosaurinaeの系統図
ヴァガケラトプスVagaceratopsがカスモサウルス属に戻されている点に注意

 さて、トリケラトプス属の変遷についてようやく論文が出たわけで、記事にするチャンスをうかがっていた矢先である。カスモサウルス亜科に関するかなり重要な論文が出たので、速報的ではあるが紹介したい。頭骨図とかは夏休みの宿題だなこりゃ

 ペンタケラトプスといえば、ニューメキシコの特産である。また、コスモケラトプスについてもユタ州、ひいてはララミディア大陸南部の特産であった。が、思わぬ新発見である。カナダのアルバータ州ダイナソー・パークDinosaur Park層から、ペンタケラトプス属の新種およびコスモケラトプス属の新種らしき化石が報告されたのである。

 ダイナソー・パーク層の最上部、ヴァガケラトプスVagaceratops(今回の論文の系統解析でカスモサウルス属に差し戻された。今後どうなるか要注意である)よりもさらに上位から、アンキケラトプスと思しき部分的なフリル(だけ)が2つ発見されていた。これについてはアンキケラトプスの模式層序よりずっと下であることなどから疑問が呈されていた。これらの標本に対し、本論文ではペンタケラトプス・アクイロニウスPentaceratops aquiloniusという学名が提案されている。また、いわゆる「コロラド産ペンタケラトプス(上の図の“Williams Fork Chasmosaur”;亜成体?)」についても、P.アクイロニウスに属する可能性を指摘している。
 また、1928年にC.M.スターンバーグによってダイナソー・パーク層中部から発見されていた頭骨(CMN 8801;従来はカスモサウルスとされていた。フリルと上眼窩角を欠く)は、今回コスモケラトプスの一種Kosmoceratops sp.(恐らくは新種だが、もろもろの事情で現状断定はできない)とされた。

 今までララミディア南部特有とされていたペンタケラトプス属とコスモケラトプス属がララミディア大陸北部から発見されたのは大きい。角竜ひいては恐竜全体のララミディアにおける分布について、新たな議論の呼び水となるだろう。
 加えて、今回の論文では“ヴァガケラトプス”や「アーモンドAlmond層産“アンキケラトプス”」、“トロサウルス”・ユタエンシスの系統的位置についても要注目である。さりげなくSupplementの中で「Chasmosaurus priscus」なる謎の学名が出てきたり、“モノクロニウス・ロウイMonoclonius lowei”がスティラコサウルス属の有効種である可能性をほのめかしたりもしており、そのあたりも含めて色々と今後に注意すべきであろう。