GET AWAY TRIKE !

恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

2014-01-01から1年間の記事一覧

ニッポノサウルスの孤独

↑ニッポノサウルス・サハリネンシスNipponosaurus sachalinensisの骨格図。 スケールは1m Skeletal drawing of Nipponosaurus sachalinensis UHR 6590, restored after Nagao, 1936 and Suzuki et al., 2004. Scale bar is 1m. 例のむかわ町のハドロサウルス…

中央アジア幼体奇譚

↑“ラプトレックスRaptorex”、タルボサウルス幼体MPC-D 107/7、 “シャンシャノサウルスShanshanosaurus”の骨格図。 MPC-D 107/7は写真を元に描き起こしており、プロポーションや寸法は微妙なところ Raptorex, modified from Paul(2010). Tarbosaurus, based o…

気が付けば

気が付けばブログを始めて1年経っていました。あっという間…と言いたいところですが、実際けっこう長かった気がします。我ながらよく続いたもんだ。 ブログを始めようと思ったきっかけは色々とあるわけですが、ここではあまり触れないでおきます(ヒマな大学…

つののないつのりゅう(記念記事)

筆者としてはあまり実感がなかったのだが、いちおう昨年(2013年)は「恐竜イヤー」だったらしい(もっとも、筆者の脳内では常に恐竜祭り状態であるとも言える。特にここ4、5年ばかりは)。主に某獣電戦隊と恐竜と歩く映画のことを指しているのだろう。ちな…

巨人たちの母

アリノケラトプスArrhinoceratopsといえば、一般にはマイナーではあるものの、最近の子供向けの図鑑にはたいてい名前が出ている程度には有名であろう(断言)。命名自体もそこそこ古い(1925年)アリノケラトプスではあるが、意外と謎の多い角竜でもある。化…

リンク先追加

某所の執筆担当でおなじみのラクティアさんによる虫歯建設株式会社(㈱)業務連絡日誌をリンク先に追加しました。 筆者のかしこさでは門前払いを食いそうな某大学にて干潟の研究(で良かったですっけ)をなされているバリバリの院生の方だったりして、色々とそ…

最初のカモノハシ

↑ハドロサウルス・フォーキイHadrosaurus foulkiiの模式標本 ANSP 9203、9204、10005(ほかにANSP 9201、9202も模式標本の一部をなす) スケールは1m いわゆるボーンウォーズが勃発したのは1870年代からであるが、ここから輝かしい北米の恐竜発掘の歴史が始…

迂闊な皇帝陛下

↑“ディナモサウルス・インペリオススDynamosaurus imperiosus" BMNH R7994(旧AMNH 5866)の左歯骨(内側面) ティラノサウルスと言えば、今日に至るまでにいくつかの属をジュニアシノニムとして取り込んできた。その中に、タッチの差で先取権を得ることので…

柳の下のなんとやら

↑レプトケラトプス科の未定種Leptoceratopsidae indet. RTMP 82.11.1 腹側から骨格を見ている点に注意。スケールは10cm Tanke, 2009より 珍しく中4日空いたわけであるが、集中講義で疲れた体を引きずって帰ってみれば、無線LANがアッーしていたのである。前は回…

南半球の角竜たち

↑左:セレンディパケラトプスSerendipaceratopsの左尺骨 右:ノトケラトプスNotoceratopsの左歯骨 スケールは10cm Rich et al., 2014より改変 角竜と言えば北半球の特産である(最近ヨーロッパからもいくらか見つかるようになった)。が、賢明なる読者の皆様…

むかわ町のハドロサウルス類について妄想するコーナー

http://pomu.town.mukawa.lg.jp/secure/3515/%e6%81%90%e7%ab%9c%e7%94%a3%e7%8a%b6%e5%86%99%e7%9c%9f%e5%ba%83%e5%a0%b1%e3%82%80%e3%81%8b%e3%82%8fweb.jpg ↑函淵層群産ハドロサウルス類の産状。関節している点に注意。むかわ町立穂別博物館より ご存知の…

アウグスティノロフス、あるいは“カリフォルニアのサウロロフス”

↑アウグスティノロフス・モリシAugustynolophus morrisiの骨格図。 模式標本LACM/CIT 2852(成体)とLACM/CIT 2760(亜成体)に基づく。 体骨格はかなり完全だが、仙椎や腰帯、肋骨の多くを欠いている。プロポーションは写真やサウロロフスの骨格に基づくも…

たまにはgdgdどうでもいい話

Q:魔王様、いつもこのブログの記事がgdgdな件でありますが… A:気にするな! ネタはあれども仕込み中だったりする時が稀によくある(ブロント語)。筆者のいつも以上にどうでもいい一人語りにお付き合い願いたい。 ―――最近あった(わりと)化石絡みのどうでも…

”アラモティラヌス”覚書

以前の記事などでも簡単に触れたが、アメリカ・ニューメキシコ州のオホ・アラモ層産のティラノサウルス類が“アラモティラヌス・ブリンクマニAlamotyrannus brinkmani”として命名されるようである。昨年(2013年)秋の時点で記載論文はどうやらin Pressとなっ…

パキケファロサウルスとスティギモロクと、ときどきドラコレックス

↑パキケファロサウルス族Pachycephalosauriniの骨格図。“サンディ”や"「ウィリアムズ牧場のパキケファロサウルス類」は未記載であり、はっきりいってかなり怪しい図である。産出部位すら定かではない。 先日募集した記念記事ネタであるが、せっかくだから俺…

スピノサウルスの新復元

http://scienceblogs.com/gregladen/files/2014/09/F2.large_-620x589.jpg ↑スピノサウルス・エジプティアクスSpinosaurus aegyptiacus 全長は15mほど。 赤色で示された部分が実際に発見されている部位である。scienceblogs.comより 先日の記事で速報的に紹…

南の国のトリケラトプス?

↑オホケラトプス・ファウラーリOjoceratops fowleriの骨格図。模式標本及び多数の参照標本に基づく。スケールは1m 2007年ごろから始まった怒涛の角竜命名ラッシュ(恐ろしいことに現在進行形である)で、これまで不定のケラトプス科とされていたいくつもの標…

イグアノドンの果て

読者の皆様は、恐らくイグアノドンの最初の(認識された)化石がイギリス産であることはご存じだろう。当然、マンテルがどーたらこーたらの話は知っているだろうからそういうことにして話を進めたい(強引) さて、命名されてから来年で190年になるイグアノ…

世界の巨大恐竜博2006始末記② ミラガイア

↑ミラガイア・ロンギコルムMiragaia longicollumの骨格図 模式標本ML 433と参照標本ML 433-Aからなる スケールは1m こういう時は勢いである。特にシリーズものにする気はなかったのだが、気まぐれに世界の巨大恐竜博2006始末記第2弾ということにしておく。 …

世界の巨大恐竜博2006始末記① ズビ・アトランティクスZby atlanticus

↑ズビ・アトランティクスZby atlanticusの骨格図 肩関節までの高さはおよそ3m Encyklopedia Dinozaury.comより 今年記載されたのだが、覚えておられる方がいるかどうか。本日取り上げるのはポルトガル産竜脚類ズビZbyである。 さて、本ブログの読者の方の中…

科博リニューアル

とっくに報道済みである。国立科学博物館の恐竜展示(などなど)がリニューアル工事に入った。筆者としては閉まらないうちに行っておきたかったのだが、福島巡検(しんどかった(小並感))だったりで結局行けずじまいであった。 さて、どのようなリニューア…

マレーエフの落とし子

↑“マレエヴォサウルス・ノヴォジロヴィMaleevosaurus novojilovi” PIN 552-2の骨格図。 体骨格はほぼ完全であるが、実際にはいくつか欠けている骨があるので注意。 スケールは1m どうにか無事に(何回か命の危険を感じなかったわけでもないが)帰ってこれた…

記念記事ネタ募集

幸いにして(筆者が福島巡検での登山から生還できれば)無事にブログ開設から1周年を迎えられそうな感じになってまいりました。手探りで始めたブログですが、驚いたことに海外からもそれなりのアクセスを頂いているようです。 さて、1周年記念(まだひと月以…

アンキロサウルスもろもろ

↑アンキロサウルス・マグニヴェントリスAnkylosaurus magniventrisの骨格図 AMNH 5895とAMNH 5214に基づく。 スケールは1m(AMNH 5214に合わせてある) ご存じの方も多いだろうが、ここ数年の再研究によって、70年代に一度統合されたエウオプロケファルス属…

トロサウルスの体骨格

↑トロサウルス・ラトゥスTorosaurus latusの骨格図 MOR 1122とMOR 981、MPM VP6841に基づく。 プロポーションはトリケラトプスに基づく大ざっぱなものである。 スケールは1m(MOR 1122に合わせてある) トロサウルスの化石と言えば、頭骨しか見つかっていな…

アパラチアの暴君たち

↑アパラチア産ティラノサウロイドの骨格図 上:ドリプトサウルスDryptosaurus ANSP 9995+AMNH 2438 下:アパラチオサウルスAppalachiosaurus RMM 6670 決してメジャーとは言えないドリプトサウルスであるが、本ブログではすでに2回取り上げている(筆者の…

スピノサウルス新復元

http://events.nationalgeographic.com/media/images/photos/Spinosaurus_Inline.png ↑新たに製作された「full-scale model of Spinosaurus」 ナショナルジオグラフィックより ご存知の方も多かろう。スピノサウルスの新復元が(わずかに)公開され、話題と…

ブラック・ビューティー

↑ブラック・ビューティーことティラノサウルスRTMP 81.6.1 スケールは1m 復元骨格とは頸椎や胴椎(そして肋骨)の相当部位が異なっている。参考にした資料と実際の復元骨格とどちらが妥当か筆者には判断する術がない そういえば、肝心のティラノサウルス(の…

タンバリュウからタンバティタニスへ

思っていたより早かった。タンバリュウがこのほどタンバティタニス・アミキティアエTambatitanis amicitiaeとして命名されたのである。大方の予想を裏切って(?)、属名はタンバティタンではなかった(titanisはtitanの女性形)。 発見当時(もう8年も前で…

性懲りもなくドリプトサウルスやらなんやら

↑ドリプトサウルス・アクイルングイスDryptosaurus aquilunguisの模式標本と“ハドロサウルス・ミノールHadrosaurus minor”?ANSP 15202の骨格図。解説は本文参照 本当なら明日からフィールドに殴りこむ予定だったのだが、台風である。筆者のフィールドは山で…