さて(唐突)、筆者はランス期(白亜紀後期マーストリヒチアン後期)の北米が一番好きである。ティラノやらトリケラやら有名どころの宝庫だったり、そうかと思えばちょこちょこマイナー種(どころか名前も付いていない連中)もいるので、その辺のバランス(?)が取れていていいかもしれない。
パラサウロロフスと言えば、(今はどうだか知らないが)筆者が小さいころの図鑑ではかなりの確率でティラノサウルスと同一フレームに収まっていた。おおかたトサカが派手で見栄えがするとかそんな理由なのだろうが、実際のところパラサウロロフスがカンパニアン中期~後期の恐竜であることは言わずもがなである。
とかなんとか言いつつ、実はヘル・クリーク層からもパラサウロロフスらしき化石が出ているらしい。「らしい」というのは、つまるところソースがThe Dinosauria“だけ”であることによる(ほかにもちょこちょこ文献は出てきたが、The Dinosauriaから引っ張ってきただけのようだ)。とりあえず調べてみた限り、元の論文らしきものは見つけられなかった。
とりあえず、The Dinosauriaなどでは?Parasaurolophus walkeriとされる化石がモンタナのヘル・クリーク層から出ていることになっている。?付きとはいえsp.ではなくwalkeriとしているあたり、ひょっとしてトサカが出たということなのだろうか?
いかんせん断片的な文章だけの情報なわけで、想像を巡らすことはできてもきちんとした話は無茶である。ただ、パラサウロロフス(そのものかはともかく)の有無は置いておいて、こういう話もある。これとは別に(あるいは、同じ標本のことを指しているのかもしれないが)以前筆者はネットで、ランベオサウルス類Lambeosaurineの腰帯がヘルクリークで見つかってSVPかどっかで発表しただのしないだのと言った話を見た覚えがあるのだが、筆者の能力ではもう一度探し当てることはできなかった。
かなり胡散臭い話ではあるが、とりあえず何がしかのランベオサウルス類が白亜紀最末期の北米にいた可能性はあるようだ。もしそうだとすれば、なかなか面白い話である。ヒパクロサウルスあたりの生き残りかもしれないし、アジアから帰ってきた連中かもしれない。あるいは、アウグスティノロフスAugustynolophusよろしく「エドモントン期型」のハドロサウルス類がカリフォルニアの方に生き残っていたと想像するのも楽しそうだ。なんにせよ、かなり胡散臭い話である。
■追記■
こういう胡散臭いページを見つけた。記述を信用するなら、パラサウロロフスかどうかはともかくとして、明らかなランベオサウルス類の腰帯がサウスダコタのヘル・クリーク層から発見されていることになる。サウスダコタ産であるなら(州は間違えるまい)ほぼ自動的にヘル・クリーク層産と考えてよさそうではあるが…。