クリンダドロメウス・ザバイカリクスKulindadromeus zabaikalicusは、ジュラ紀中期~後期(バジョシアン~チトニアン)のウクレイスカヤUkureyskaya 層(ステゴサウルス類だかが見つかっている地層と言うのはここのことなのだろうか?)から発見された。火山灰層であるがゆえに化石の保存状態はかなり良く、ウロコや「羽毛」が保存されていたわけである。
本来去年のSVPで発表されるはずだったのだがキャンセルされ、今年の春に福井で行われたシンポジウムの席上で発表されたのが本種である。今回、記載論文が掲載されたことでめでたく正式記載となったわけである。
さて、クリンダドロメウスの「羽毛」が獣脚類そして鳥類のものと真に相同であるかは置いておいて、ちょっと注意しておくべき話がある。
クリンダドロメウス記載の話を聞いてちょっと首をひねった方もいるのではないだろうか。今月初め、同じロシアからすでに「羽毛の生えた鳥脚類」が報告されているからである。
クリンダプテリクス・ウクレイカKulindapteryx ukureicaとダウロサウルス・オロヴスDaurosaurus olovusがそれである。お気付きの方もおられるだろうが、クリンダプテリクス、ダウロサウルスの「羽毛」はクリンダドロメウスのものと酷似している。
……理由は単純である。クリンダプテリクス、ダウロサウルス、クリンダドロメウスはおそらく同一属・種だからである。
なぜこんな事態になったのか、筆者は想像するしかない。が、こんな話がある。
"Please forget about those names(筆者注:クリンダプテリクスとダウロサウルスのこと). These are based on specimens that
Alifanov(クリンダプテリクス、ダウロサウルスの記載論文の著者のひとり) stole in Chita and that are illegally housed in PIN in Moscow
but belonging in fact to the Institute of Natural Resources Ecology
and Cryology (Chita). Moreover there is a single taxon. And it is not
a hypsilophont but a basal ornithischian. This paper is a true
discoverers of the specimens... and based on the legal INREC material
in Chita will be published in July in one of the highest-ranked
scientific journals!"
この先クリンダドロメウス、クリンダプテリクスそしてダウロサウルスがどうなるのか、筆者にはわからない。ただ、しかるべき手順にのっとって、きちんと研究されることを祈るだけである。