GET AWAY TRIKE !

恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

トロサウルスの体骨格

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トロサウルス・ラトゥスTorosaurus latusの骨格図
MOR 1122とMOR 981、MPM VP6841に基づく。
プロポーショントリケラトプスに基づく大ざっぱなものである。
スケールは1m(MOR 1122に合わせてある)

 トロサウルスの化石と言えば、頭骨しか見つかっていないと思っている方が多いのではないだろうか。実際化石の大半は頭骨(それもほとんどが不完全)なのだが、わずかながらに体骨格も発見されているのである。

 目下唯一のトロサウルス(・ラトゥス)として断定できる体骨格がMPM VP6841である(以前にもちらっと触れた)。部分的な頭骨(フリルはほぼ完全)と肩帯、前肢(手を欠くが他は完全)、肋骨、椎骨、腰帯の一部が知られている。
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トロサウルスMPM VP6841。はい歩き型に復元された前肢と、4本指に復元された手に注意。写真はwikipediaより

 不幸にして筆者はこの標本の来歴などについては詳しくない(論文集が出ていることは出ているのだが、とんでもなく値段が張るのでさすがに手が出せない。そもそも来歴が論文に書いてあるかも怪しい)。復元骨格そのものは、90年代半ばに制作されたものである。この標本は、体骨格をトリケラトプスのそれと比較できる点で極めて重要である。

 個体差も考えられる(恐らくこれは個体差ではないだろうが)ためあまり突っ込んだ話はしにくいのだが、実のところMPM VP6841とトリケラトプスの肩甲烏口骨とでは、明らかに形態が異なる。
 トリケラトプスのシノニム問題においては、頭骨の特徴しか議論されてこなかった。標本数(や記載の状況)からすれば当たり前の話なのだが、体骨格に関しても議論すべきであるようにも思える。どうしてもケラトプス科角竜の分類については頭骨の議論に終始しがち(仕方のないことではあるのだが)だが、体骨格に関してもっと注意を払ってもよいように思う。

 蛇足だが、トリケラトプスの見つかるララミーLaramie層(コロラド)からは、既知のトリケラトプスとは異なる角竜の亜成体の首なし骨格DMNH 17060が知られている。烏口骨の特徴はMPM VP6841によく似ており、恐らくこれが亜成体のトロサウルスなのであろう。(資料はあるのだが、どうもこいつの骨格図がうまく描けない。Yoshi's Trikeがヒントになりそうな気もするのだが…)