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恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

タンバリュウからタンバティタニスへ

思っていたより早かった。タンバリュウがこのほどタンバティタニス・アミキティアエTambatitanis amicitiaeとして命名されたのである。大方の予想を裏切って(?)、属名はタンバティタンではなかった(titanisはtitanの女性形)。

 発見当時(もう8年も前である。月日が経つのは早い)はかなり大型の竜脚類であるとも言われた本種であったが、結局のところ全長15m程度の中型竜脚類であるようだ。
 全長の過大な見積もりはつまり、本種の血道弓が相対的にやたら長かったことに由来する。血道弓の長さを一般的な竜脚類の比に合わせて全長を見積もったわけだが、実のところ本種の血道弓は体サイズの割に異様に長かったのである(これは本種の重要な特徴のひとつである)。
 なんだかんだで骨格は全長を見積もるのに十分な部位が発見された。頭部についても、おおよその形態を復元するに足る量が見つかっており、かなり貴重である。
 骨格図に関して筆者ごときがでっち上げる理由は何もない。各自小田せんせーによる素晴らしい骨格図をググられると良いだろう。その気になれば復元骨格を制作できる程度には化石が見つかっているといえる。

 記載論文はモノグラフの形をとっており、66ページにわたる大作である。脳函と腰帯、尾椎について詳細な骨学的記載がなされており、図を見るだけでお腹いっぱいになれるだろう。バラバラになった腸骨をCTスキャンしてデータ上で復元したりと、最近出てきた手法も取り入れられている(腸骨が見つかっているというわりに化石の写真を見ないなぁと不思議に思っていた筆者だったのだが、つまりそういう訳であった)。
 気になる系統解析ではあるが、すでに予察的な報告がなされていた通り、エウへロプスに近縁とされている。キャオワンロンQiaowanlongやエルケツErketu、エウへロプスにダシアティタンDaxiatitan、タンヴァヨサウルスTangvayosaurus、プウィアンゴサウルスPhuwiangosaurusなどと共にエウへロプス科Euhelopodidaeをなす可能性が指摘されており、どうもティタノサウルス形類のなかでも白亜紀前期のアジアに固有のグループであるようだ。
 ただ、一方で脳函の特徴は基盤的ティタノサウルス形類というよりもティタノサウルス類的であるという。このあたりに関しては、これからの研究が期待される。

 そんなわけで、めでたく骨格化石に関する有効名としては日本産5属目の学名である。篠山層群の恐竜に関してはかなり重要なものが他にも知られており、研究の進展次第ではそのうち命名されていくことだろう。