GET AWAY TRIKE !

恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

角竜

三本角の巨人たち

↑代表的な“最大級”のトリケラトプスの頭骨。資料不足だったりでいずれも図の信憑性は微妙なところ どうしてもデカいものに人は惹かれるわけで、「最大の恐竜」と言われると大概の人はホイホイついて行ってしまうわけである。化石記録というものに「完全」な…

コアウィラケラトプス

↑左:コアウィラケラトプスの頭骨(模式標本CPC 276、若い成体?) 右:亜成体ないし大型幼体の歯骨(CPC 277) スケールは1m 20世紀の初めごろからメキシコでの恐竜発掘は始まっていたのだが、詳細な研究がおこなわれるようになったのは半ば過ぎのことであ…

ユタケラトプス

↑上段より、ユタケラトプスの復元頭骨、発掘された頭骨要素(上面)、頭骨復元図(上面)、頭骨復元図(側面)、発掘された頭骨要素(側面、頭頂骨を除く) Sampson et al., 2010を改変 さて、あと1ヶ月で大阪のトリケラ展なわけである。ぼちぼちペースアッ…

コスモケラトプス

↑コスモケラトプスの模式標本UMNH VP 17000の頭部。各骨の名称については過去記事参照 大阪のトリケラ展(勝手に略)にかこつけて角竜を紹介していくコーナー第2弾は、2010年に命名されたコスモケラトプス・リチャードソニKosmoceratops richardsoniとしたい…

gdgd骨学 角竜その1

リクエストもあったことだし、せっかくだから俺はこの角竜の骨学を解説するぜ!と意気込んではみたが、所詮筆者は骨学の勉強はしたことのない男なのであった。あまり詳しい話、とくに純骨学的な話はできそうもないが、一応頑張ってみたい。 とりあえず第1回…

ディアブロケラトプス

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/2/28/Diabloceratops_skull.jpg/463px-Diabloceratops_skull.jpg ↑ディアブロケラトプスの頭骨(キャスト)。ウィキペディアより なんだかんだ2ヶ月もしないうちに例のトリケラ展が大阪で始まるわけで…

“エウリケファレ”

↑“エウリケファレEurycephale”あるいはトリケラトプス・“エウリケファルス”Triceratops "eurycephalus"の唯一の標本MCZ 1102 大腿骨は測定値のみに基づく。この他、肩甲骨、烏口骨、胴椎、肋骨なども発見されている さて、かつて15種ほどが命名されていなが…

Yoshi's Trike

↑トリケラトプス・ホリドゥスMOR 3027 “Yoshi's Trike”の骨格復元図。写真から描き起こしたものであり、正確性には自信がない。長い後肢と華奢な椎体に注意 さて、ここ20年余りの発掘の進展で、ようやく体骨格を十分にともなったトリケラトプスの化石が発見…

最後の夜明け

↑エオトリケラトプス・クセリンスラリスEotriceratops xerinsularisの骨格復元図 模式標本TMP 2002.57.7を示す。スケールは1m 最後の角竜にして非鳥類恐竜の進化の頂点の一つに達したトリケラトプス(とトロサウルス)の出現前夜、すなわち白亜紀後期マース…

4体合体

↑LACMで最近組み立てられた新しいトリケラトプス・プロルススの骨格図 未発見部位を白で示す LACM、つまりロサンゼルス郡立自然史博物館といえば、アメリカ北西部のヘル・クリーク層やカリフォルニアのモレノMoreno層(いずれも白亜紀最末期)のコレクション…

モンタナ・デュエリング・ダイナソーズ:後編

前回はナノティラヌスの話だったので、今度は角竜の方の話をしたい。 MDDの角竜の特筆すべき点として、全身が関節した状態であった点が挙げられる。関節した角竜の骨格、といえば科博のレイモンドを思い浮かべられる方も多いだろうが、レイモンドでは尾椎の…

エル・ピカチョの角竜

↑「エル・ピカチョの角竜」TMM 42304-1とTMM 40814-6を白色で示す。スケールは1m さて、アメリカ・テキサス州にエル・ピカチョEl Picacho層という、白亜紀後期(マーストリヒチアン)の地層が存在する。ここからは、1960年代と1980年代に角竜の化石が発見さ…

カスモサウルスの幼体

http://i.livescience.com/images/i/000/059/649/original/ceratopsid-skeleton.jpg?1385390659 livescienceより、カスモサウルスの一種Chasmosaurus sp.の幼体 さて、先日のSVP2013ではデイノケイルスの新標本が話題をさらったが、角竜についても新情報が出…

ジュディス・リバーの悪夢(後編)

↑ジュディス・リバー産のケラトプス科角竜の頭骨。発見部位を白で示す。前編の図を修正したもの さて、つい最近になってほぼ完全なアヴァケラトプス(の亜成体?)の骨格が発見され、鼻角が存在しないことが明らかになった。また、ナストケラトプスNasutocer…

トリケラトプスの近況

ジュディケラトプスの資料探しがおっつかなかったりプラモデル作ってたりしたので「ジュディス・リバーの悪夢 後編」は今回はお休み。かわりと言ってはアレだが、最近色々あったトリケラトプスについて、いくつか書き記しておきたい。この辺の話題については…

ジュディス・リバーの悪夢(中編)

↑福井県立恐竜博物館に展示されている「アルバータケラトプス・ネスモイ」 前回を読まないとイミフ(読んでもイミフかもしれない・・・)なので注意すべし。 時は流れて2001年。カナダ・アルバータ州のメニーベリーズ、オールドマンOldman層から、奇妙な角竜…

ジュディス・リバーの悪夢(前編)

アメリカのモンタナ州は、良質な恐竜の化石を多数産出することで知られている。様々な年代の地層から恐竜化石が発見されているが、中でも古くから発掘が行われてきたのがジュディス・リバーJudith River層である。白亜紀後期、カンパニアンの中頃―――カンパニ…

恐竜王国2012始末記前編 シノケラトプス

↑シノケラトプスの骨格復元図。鼻骨~後眼窩骨にかけてと頭頂骨は模式標本ZCDM V0010、鱗状骨と縁鱗状骨、その他細部はZCDM V0011に基づく。発見部位を白で示す 昨年(2012年)の夏に幕張で「恐竜王国2012」が開催された(そしてコケた挙句に汎企画21が潰れ…

ユタのトロサウルス

↑“トロサウルス”・ユタエンシスの頭骨復元図。発見部位を白で示す 1935年にアメリカ・ユタ州のノース・ホーンNorth Horn層で発見された角竜の化石は、1946年にアリノケラトプスArrhinoceratops属の新種(模式種A.ブラキオプスbrachyopsはカナダ産)、A. ユタ…

ブラヴォケラトプス

↑ブラヴォケラトプス・ポリフェムス 模式標本TMM46015-1 産出部位を白で示す 近年の記載ラッシュで大きく種数を増やしたケラトプス科であるが、今回は最も新しく命名(2013年6月論文発表)されたブラヴォケラトプス・ポリフェムスBravoceratops polyphemusに…

アガタウマス

Agathaumas sylvestris 模式標本AMNH 4000(ウィキペディアより、Hatcher et al., 1907の図) 初期の角竜の研究と言えば、マーシュとゆかいな仲間たち(ハッチャーとラル)が思い起こされるが、何だかんだで最初の角竜を記載したのはコープの方だったりする…

ケラトプス伝説

↑cf. Ceratops montanus "Judith"の頭骨。発見部位を白色で示す ケラトプスCeratops montanusが記載されてから120年以上が過ぎたが、未だにこの恐竜の姿ははっきりしない。 モンタナ州のジュディス・リバーJudith river層(7750万年前?)から採集された左右…

カナダのトロサウルス

↑“トロサウルス”の一種 "Torosaurus" sp.:EM P16.1 スケールは1m ほとんどの図鑑には、トロサウルスTorosaurusは「アメリカ・カナダ産」と書いてある。現時点でトロサウルスは(異論もあるが)模式種T.ラトゥスlatus(アメリカのモンタナ、ノースダコタ、サ…

下甑島の角竜

今年の2月に発表された下甑島の角竜のニュースは記憶に新しい(はず)。アジアでも稀な「ケラトプス類」という触れ込みもあって、ネット上でも(一瞬は)話題になったようだ。この角竜について、色々と書きたい。 さて、発見された部位が歯根の一部であるこ…

「最大のトリケラトプス」

(↑ MWC 7584(BYU 12183) スケールは1m。写真から書き起こしたものなので正確性には自信がない) さて、ここ10年あまりで「トリケラトプスの全長」が小さくなっていることにお気づきの方もいるだろう(断言)。(先日逝去された金子隆一氏の著作などによっ…