さて、つい最近になってほぼ完全なアヴァケラトプス(の亜成体?)の骨格が発見され、鼻角が存在しないことが明らかになった。また、ナストケラトプスNasutoceratopsの発見で、系統図上の位置もほぼ確定した。
また、今年(2013年)になって、新たなカスモサウルス亜科の基盤的な角竜、ジュディケラトプス・ティグリスJudiceratops tigrisが記載された。化石は恐ろしく貧弱だが、ひとまず既知のジュディス・リバー層産角竜とははっきり異なるようだ。
他にも、最近になってかなり進化したタイプのカスモサウルス亜科の角竜(これについては「ケラトプス伝説」参照)が発見され、さらに混沌とした状態となっているのが現状である。
というわけで、ひとまずジュディス・リバーの角竜についてまとめたい。
そして、基盤的なカスモサウルス亜科の角竜が2種(メデューサケラトプスとジュディケラトプス)。派生的なカスモサウルス亜科の角竜が1種(cf.ケラトプス)である。
マンスフィールドのセントロサウルス亜科の角竜については、化石がメデューサケラトプスと入り混じっているため、分類の位置ははっきりしない。既知のセントロサウルス亜科のものかもしれないが、新種の可能性も否定はできまい。
以上、駆け足だが、ジュディス・リバー層産角竜の悪夢のような混乱について書いてみた。残念ながら、ジュディス・リバー産の角竜でしっかりした化石が見つかっているのは、アヴァケラトプスとcf.ケラトプスに限られているのが現状である。
現時点での化石証拠から考えると、7750万年前という年代の古さ(既知の最古のケラトプス科の化石がおよそ8000万年前)にもかかわらず、派生的なケラトプス科のなかまが基盤的なものと共存しているという点が興味深い。ケラトプス科の起源を探るうえで、ジュディス・リバーの角竜が占める役割は大きそうである。