↑cf. Ceratops montanus "Judith"の頭骨。発見部位を白色で示す
ケラトプスCeratops montanusが記載されてから120年以上が過ぎたが、未だにこの恐竜の姿ははっきりしない。
モンタナ州のジュディス・リバーJudith river層(7750万年前?)から採集された左右上眼窩角および後頭顆を模式標本(USNM 2411)として命名された本種ではあるが、その後の角竜の研究の進展によって(実質的な)疑問名へと追いやられ、分類群の名前の中にのみ息づいている。(後になって参照標本として鱗状骨(フリルの一部)が追加されたが、鱗状骨単体で見つかったらしく、現在では不定のセントロサウルス類とされている)
ジュディス・リバー産のケラトプシドceratopsid(ケラトプス科の角竜)の中にはいくつか発達した上眼窩角をもつものが知られている(アヴァケラトプスAvaceratops、“マンスフィールドのセントロサウルス類”(アルバータケラトプス?)、メデューサケラトプスMedusaceratops、ジュディケラトプスJudiceratops)。ケラトプスがカスモサウルス亜科(だった場合、ケラトプス亜科という名称がこれに取って代わる)なのか、原始的なセントロサウルス亜科の角竜だったのかすらはっきりしないのが現状である。
最近新たにケラトプスの疑いをかけられたのが、"Judith"の愛称を付けられたカスモサウルス類である。2005年に頭骨の大部分(図)と、上腕骨、大腿骨、腸骨、胴椎と肋骨少々が発見されており、予察的な研究でケラトプスの可能性が示唆されたらしい。年代は一応7500万年前とされているが、産地、産出層準ともにUSNM 2411と近いとのことなので、おそらく7750万年前に改訂されるのだろう。とっくにBHIによって頭骨キャストhttp://www.bhigr.com/store/product.php?productid=680が製作されている。
全体的な形態はユタケラトプスUtahceratopsとよく似ているが、ホーンレットの形態が大きく異なり、ユタケラトプスとは別属と考えていいだろう。
この角竜、一昨年(2011年)の夏に「近々記載論文発表」というニュースが流れたのだが、結局発表されることはなかった(査読で落とされたのか?)。が、今度こそ今年(2013年)の暮れに論文が掲載されるらしい。ついにケラトプスが疑問名から復活するのか、それとも新たなカスモサウルス類のお目見えとなるのか、楽しみなところである。