大阪のトリケラ展(勝手に略)にかこつけて角竜を紹介していくコーナー第2弾は、2010年に命名されたコスモケラトプス・リチャードソニKosmoceratops richardsoniとしたい。海洋堂のガチャガチャのラインナップにも組み込まれた、今をときめく角竜である。
アメリカのユタ州と言えば、恐竜の生きた時代のほとんどをカバーするほど幅広い年代の地層が分布している。ユタ州でみられる白亜紀後期を代表する地層にカイパロウィッツKaiparowits層(カンパニアン後期、7660万~7450万年前)があるのだが、わりあい最近になるまできちんとした調査は行われていなかった。パラサウロロフス・キルトクリスタトゥスParasaurolophus cyrtocristatusの骨格をはじめ、カンパニアン後期にありがちな恐竜(に暫定的にぶち込まれたもの)が見つかっている程度だったのである。
比較的“手つかず”に近かったこともあって、2000年から2007年にかけてユタ自然史博物館などによる非常に大規模な調査が行われた。結果は大当たりであり、グリポサウルスGryposaurusの新種(G. monumentensis)からハグリフスHagryphus、タロスTalos、テラトフォネウスTeratophoneusが続々と記載されることとなった。中でも角竜は大豊作であり、新属新種を3つも輩出することになった。その一つが、今回紹介するコスモケラトプスである。
現時点で、模式標本(頭骨とそれにほぼ関節した胴体、成体)ともう1個体(ばらけた頭骨、亜成体)が知られている。中部カイパロウィッツ層の下部あたり(といって伝わるか…要は真ん中よりちょい下)から産出しており、7640万~7590万年前まで生息年代が絞り込まれている。
さて、一見してわかる特徴が、(遠まわしに)属名の由来となったホーンレットである。ここまで派手なホーンレットはカスモサウルス亜科では珍しい。前方に“垂れ下がった”縁頭頂骨は“カスモサウルス”・アーヴァイネンシスと共通するものでもあり、系統解析の結果C.アーヴァイネンシスはヴァガケラトプスとして独立し、コスモケラトプスと姉妹群を成すこととなった。
また、上眼窩角が完全に側面を向いてしまっているのも珍しい。アリノケラトプスなど、かなり“左右に開いている”ものはあるが、ここまで側面を向いているものは本種とユタケラトプスしか(現時点では)いない。不思議なことに、コスモケラトプスもユタケラトプスも同じ時代、同じ場所で共存していた角竜である。
(一応、セントロサウルス類であるコロノサウルスCoronosaurusでも上眼窩角が真横を向く。とはいっても、所詮コロノサウルスの上眼窩角は大した長さではない)
去年だか一昨年になって、復元頭骨に加えて復元骨格も製作された。首が妙に詰まっているのが気になる(肩帯が前に来すぎているような)が、まずまずよくできた骨格である。
さっぱりまとまっていない(まとめようとすらしていない)が、このブログはそういうテキトーなところなので気にしては負けである。