GET AWAY TRIKE !

恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

ディアブロケラトプス

ディアブロケラトプスの頭骨(キャスト)。ウィキペディアより
 
 なんだかんだ2ヶ月もしないうちに例のトリケラ展が大阪で始まるわけで、便乗して色々な恐竜を紹介していこうと思う。まずはディアブロケラトプス・イートニDiabloceratops eatoniから。

 海洋堂のガチャガチャ(恐ろしく出来がいいので「わーっ、あてるぞ!」するといいんじゃないかな)でも立体化されるほど人気()の本種だが、命名されたのは2010年と、かなり最近のことである。

 1998年にアメリカ・ユタ州のワウウィープWahweap層下部で、部分的な角竜の頭骨が発見された。「Nipple Butte Skull」の愛称のついたこの頭骨は風化が凄まじかったのだが、ワウウィープ層から見つかる初めての角竜化石だったこともあり、回収されてユタ自然史博物館に送られた。(そしてこれといって研究も進まないまま放置された)
 2002年になって、ワウウィープ層中部から新たな角竜の頭骨が発見された。右半分は風化して木端微塵になっていたのだが、左半分はそっくり母岩に埋まった状態であった。「Last Chance Skull」を含むブロックを切り出したまでは良かったが、その後すったもんだあったらしく(金が無かったのか何なのか)、2005年になってようやくヘリコプターで現場から運び出され、これまたユタ自然史博物館へと送られた。

 そんなこんなで「Last Chance Skull」を復元したものが2008年の早春には完成したが、またもや色々あったらしく記載論文の発表は遅れ、ようやく2010年になって公式に命名された。(この辺の混乱っぷりは所せんせーのブログに詳しい。半身しか見つかっていないことを見抜いてるあたりはさすがである)
 この時、「Nipple Butte Skull」もディアブロケラトプス sp.として記載され、12年越しでワウウィープ産角竜の全貌が明らかになったのである。

 さて、立派な上眼窩角をもつディアブロケラトプスだが、皆さまご存じ(断定)の通り、命名されたものの中では最古(7900万年前、カンパニアン前期)にして最も基盤的なセントロサウルス類である。鼻角(申し訳程度の突起)とは別に縁鼻角も存在し、ケラトプス科の初期進化について色々とヒントを与えてくれる。もっとも、体骨格が全く見つかっていないため、プロトケラトプス科あたりからの体型の変化がどうなっていたのかは謎である。
 
 実のところ、最古のケラトプス科角竜はこいつではない。未命名のセントロサウルス類がニューメキシコ州のメネフィーMenefee層(カンパニアン初期)から見つかっているのだが、それはまた別の話である。