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恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

エル・ピカチョの角竜

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↑「エル・ピカチョの角竜」TMM 42304-1とTMM 40814-6を白色で示す。スケールは1m

 さて、アメリカ・テキサス州にエル・ピカチョEl Picacho層という、白亜紀後期(マーストリヒチアン)の地層が存在する。ここからは、1960年代と1980年代に角竜の化石が発見されている。

 化石はいずれも断片的である。しかし、その中にいくつか重要な標本が存在する。これらの標本はひとまず同じ分類群に属するとされ、「エル・ピカチョの角竜」と暫定的に呼ばれている。
 脳函や鱗状骨(フリル)、鼻骨、上腕骨、肋骨を含む標本(TMM 42304-1)や、大きな縁頬骨(TMM 40814-6)、その他2標本が発見されている。特筆すべきは鼻骨であり、トリケラトプス・“オブトゥススobtusus”やネドケラトプスNedoceratopsのように、鼻角らしきものが存在しない。

 いかんせん鼻骨が残っている標本が一つしかなく、これが属・種としての特徴なのか病変なのか確かめるすべはない。もし属・種としての特徴ならば、「エル・ピカチョの角竜」はまぎれもない新属(and/or)新種である。

 ところで、最近テキサスのジャヴェリナ層(マーストリヒチアン前期→エル・ピカチョ層と同年代か?)から記載されたブラヴォケラトプスだが、鱗状骨の形態がよく似ているように思われる。また、「(上から見て)幅の狭い鼻骨」や「大きな縁頬骨」なども共通する特徴らしい。
 もしも「エル・ピカチョの角竜」の鼻角が病変によるものだとすれば、ひょっとするとブラヴォケラトプスそのものの可能性がある。そうでなかったとしても、かなり密接な関係にあったのではないだろうか。