GET AWAY TRIKE !

恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

4体合体

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↑LACMで最近組み立てられた新しいトリケラトプス・プロルススの骨格図 未発見部位を白で示す

 LACM、つまりロサンゼルス郡立自然史博物館といえば、アメリカ北西部のヘル・クリーク層やカリフォルニアのモレノMoreno層(いずれも白亜紀最末期)のコレクションで有名である。茨城県自然博物館と姉妹館締結を結んでいることもあり、それなりに日本でも知名度は高い(断言)。昨年の秋に古脊椎動物学会が開催されたのもここである。
 さて、LACMには古くから(とは言っても80年代頃からか?)有名なトリケラトプスの標本が展示されている。トリケラトプス・プロルススTriceratops prorsusの頭骨LACM 7207と、復元骨格LACM 59049(発見されたのは部分的な骨格であり、頭部の保存が良くなかったためLACM 7207のレプリカを頭部に流用している)LACM 7207は産地ナンバーということらしく、頭骨単体も復元骨格も共にLACM 59049ということらしい。この辺文献によって混乱があるようだである。両者ともに日本国内で見ることができ、丸っこい顔に見覚えのある方も多いのではないだろうか。

 最近LACMでは展示のリニューアル(というよりは展示スペースの増築?)が行われた。ティラノサウルス親子の展示(“ディノティラヌス”と“スティギヴェナトル”の復元骨格を製作するという荒業)や、関節の繋がったエドモントサウルスの幼体、恐竜ではなく首長竜だが、胎児を抱えたままのポリコティルスPolycotylusなど見どころは多いが、ここで注目したいのが新たに組み立てられたトリケラトプスである。

 全長7mを超える、なかなか立派な組立骨格である。胸郭の復元がややアレだが、実物骨の質感が素晴らしい。この骨格は特筆すべきことに「4体合体」である。

 多かれ少なかれ、恐竜の復元骨格を製作する際には、不足する部位を何らかの手段で補う必要がある。文献や他の標本を参考に製作した模型を組み込むこともあるが、大きさが一致する別の標本(同一種であることが望ましいが、別種を組み込んでしまうことが多々ある)が組み込まれることも珍しくない。

 トリケラトプスの場合、1体分の化石だけで全身骨格が復元できそうなものはわずかに10体ほどしか存在しない。今まで製作されたトリケラトプスの復元骨格は(筆者の知る限り)20タイプ近く存在するが、そのうちの半数が「Composite Skeleton」なのである。

 そんなわけで、上の図と写真で示したLACMの新トリケラだが、さすがに最近の製作だけあり、大きさのそろった標本を念入りに合体させてあるようである。T.プロルススと同定されているのはLACM 151459だけらしく、痛し痒しといったところではあるが…。
 LACM 151459は前肢と頸部がそれぞれ関節した状態で見つかっている。また、頭部も下顎が閉じた状態で化石化していた。関節した前肢はトリケラトプスでは2例目の発見で、「藤原説」をさらに補強する。
 また、LACM 150076の大腿骨は長さが117㎝あり、計測値の存在するトリケラトプス(というか角竜全体)の大腿骨の中でも、かなり大きな部類に入る。

 というわけで(強引)まとめようとしていない凄まじくまとまりの悪い記事になってしまった。LACMの新トリケラのいい資料が見つかってうれしくなって書いただけなので気にしない。