GET AWAY TRIKE !

恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

ストークスの影

↑Skeletal reconstruction of Juratyrant langhami holotype OUMNH J.3311-1~30. Scale bar is 1m. ティラノサウルス類の確実な化石記録が白亜紀に限定されていた時代はもはや遠く、ジュラ紀の様々なティラノサウルス類が報告されるようになって久しい。ジュ…

未知の花、魅知の旅

↑Composite skeletal reconstruction of "DPF Zapsalis" Saurornitholestes langstoni largely based on UALVP 55700. Scale bar is 1m for UALVP 55700. いい加減で夏である。どうしようもない情勢にあるのはだいぶ前から変わらずで、とはいえ筆者の出る幕…

第三次継承権戦争

↑Chilantaisaurus tashuikouensis (holotype IVPP V.2884.2 –7; upper row) and Siats meekerorum (holotype FMNH PR 2716; lower row). Scale bars are 1m. 白亜紀“中期”(いわゆるガリック世――バレミアンからチューロニアン)、とりわけセノマニアンからチ…

エニグマ始動

↑Skeletal reconstruction of Elaphrosaurus bambergi holotype HMN Gr.S. 38-44.Scale bar is 1m. エラフロサウルスと聞いた時にあなたが思い浮かべるのはどういうイメージだろうか?筆者はヴェロキラプトルの頭(めいた何か)が据えられていた頃の生まれで…

逆襲のギガンティス

↑Gigantic Tyrannosaurus and Triceratops specimens. Top to bottom, cf. Tyrannosaurus rex (commercial specimen exhibited at Tokyo International Mineral Fair 2017; femoral length:1.36m); Tyrannosaurus rex "SUE" FMMH PR 2081; Triceratops prors…

2020年を振り返って

年の瀬もいい加減押し迫ってきたところである。あまりにも色々なことのあった2020年であり、毎年恒例ともいえた各種イベントはもろに影響を食らったのは今さら書くこともないだろう。夏の大規模展はお流れとなり、中規模展も規模の大幅縮小でどうにか開催に…

もうひとつのカムイ

↑Skeletal reconstruction of Kamuysaurus japonicus holotype HMG-1219 and TMP 1989.092.0001 (selected elements). Scale bars are 1m for entire skeletons and 50cm for skulls. 国産恐竜といえば、「ご当地性」と密接に結びついている以上、マウントの…

モンタナ・デュエリング・ダイナソーズ;帰還

Montana dueling dinosaurs――モンタナ闘争化石の名で知られるそれが日本で話題になりだしたのはいつのころだっただろう。本ブログが今は亡きYahoo!ブログ(実際問題編集ははてなブログよりはるかにやりやすかったのだ)で生まれて日の浅いころに集中的に取り…

【告知】第5回VR恐竜シンポジウム「恐竜骨格の復元」にゲストで登壇します

というわけで(いつも通り前略)、9/27(日)の19時から恐竜技術研究ラボの第5回VR恐竜シンポジウムにゲストとしてお招きいただくことになりました。「恐竜骨格の復元」ということで、いつもの骨格図がらみの話等々について、司会の芝原暁彦さん、今井拓哉さ…

過ぎ去りし時の終わりに;「グレゴリーポール 恐竜事典」レビュー

例によってネットと書店実店舗とで発売のタイミングが微妙にずれていると見せかけて別にそんなことはなかったようだ。例によって(そうでもない)首尾よくポールの骨格図本――「グレゴリー・ポール恐竜事典」を手に入れた筆者である。今までさんざん(特に原…

そして伝説へ…

真夏もいいとこである。筆者のマシンは例によってMW5(そろそろ中心領域周回も飽きてきたので追加のダウンロードコンテンツはよ)を回すと熱停止寸前までヒートシンク(フリーザーとか二重ではない)のファンが咆哮するわけだが、幸い冷房を付けていればなん…

企画展「福井の恐竜新時代」レポ

更新をほったらかしていたらあっという間に8月である。本来なら今夏も色々あるはずが中止やら延期やら規模縮小やらではあるのだが、致し方ないところではある(が、細々と告知を続けているものもある)。 福井県立恐竜博物館といえば今年で開館20周年(前身…

十字架に磔られて

↑Composite skeletal reconstruction of Deinocheirus mirificus. Scaled as MPC-D 100/127. 筆者くらいの世代、つまり90 年代生まれは、「謎の獣脚類」としてのデイノケイルス(とテリジノサウルス)を(リアルタイムで)図鑑で見た最後の世代であった。筆…

WISの果てに

↑Skeletal reconstruction of Dryptosaurus aquilunguis (holotype ANSP 9995 and AMNH 2438) and small subadult or large juvenile Tyrannosaurus rex (composite; largely "Jane" BMRP 2002.4.1). Scale bar is 1m. 2020年もすでに3日目である。筆者はと…

美しかったもの

↑Skeletal reconstruction of cf. Pinacosaurus sp. MPC-D 100/1305. Scale bar is 1m. サイカニアといえば、「エウオプロケファルスと違って前肢やわき腹にも鎧が存在する」ということで名前を覚えた方も多いのではないだろうか(筆者もそのクチである)。…

もうひとつの謎【ブログ開設6周年記念記事】

Composite reconstruction of latest Cretaceous therizinosaurid---using Erlikosaurus skull and pes, Nanshiungosaurus neck and torso, Therizinosaurus forelimb (and pes), and Nothronychus hindlimb and tail. Scale bar is 1m for Therizinosaurus …

いつの間にか

いろいろとバタバタしているうちに、うっかりブログ開設から6周年が過ぎていました。例によって更新は滞りがちですが、(本来の目標通り)のんびりまったりゆるくやっていきたいところです。 去年あたりからほのめかしていたことですが、この1年間でいろいろ…

朱い砂、白い骨

Skeletal reconstruction of Velociraptor mongoliensis largely based on MPC-D 100/25 ("fighting dinosaurs").Scale bar is 1m for MPC-D 100/25. 今日非常に高い知名度を誇るヴェロキラプトルが最近見つかった恐竜などではないことは、賢明なるGET AWAY …

奇跡の海

Skeletal reconstruction of Kamuysaurus japonicus holotype HMG-1219. Scale bar is 1m. 言うまでもなく全てはひとつのイベントに収束したわけである。果てしなく続くかに見えた(そして筆者もその片棒のすみっこをなでくりまわした)メディア戦略の末、む…

再び発つ

↑Skeletal reconstruction of Hadrosaurus foulkii holotype ANSP 9201-9204, 10005. Scale bar is 1m. どういうわけか本ブログでも散々取り上げてきたむかわ竜は、記載論文の出版が間近に迫っているらしい。むかわ竜の化石が奇跡の産物だというのは今さら書…

【告知】第三回古生物創作合同展示会に出展します

(コラをつくったひと:ツク之助) 今年の夏も山本聖士さん主宰の古生物創作合同展示会に出展します。茨城県自然博物館御用達の某有名イラストレーター(筆者ではない)も参戦する今回は、横浜亜熱帯茶館での開催となります。 というわけで、GET AWAY TRIKE …

ごあいさつ

というわけで(前略)、かねてからひっそり予告していた通り、Yahoo!ブログからはてなブログへのおひっこしとなりました。先代は立ち上げから5年と10ヶ月に渡ってご愛顧いただいたわけですが、はてなブログでも引き続きGET AWAY TRIKE !をどうぞよろしくお願…

「恐竜博2019」レポ

7月も半ばである。筆者はといえば色々と綱渡りの状況が続き(無事渡りきれたかといえばそんなことはない)、そうこうしている間にブログの引っ越しができるかといえばそんなこともなかったわけである。 諸般の事情により内覧会におよばれしていたにもかかわ…

企画展「体験!発見!恐竜研究所 ようこそ未来の研究者」レポ

会期が始まってからだいぶ経ってしまったわけだが、そうは言ってもゴールデンウィークはこれからであり、修羅場はこれからであろう。そういうわけで開幕セレモニーにおよばれしてきた筆者だが(なんなら本ブログも協力機関としてクレジットされている)、ミ…

恐竜博2019によせて

カーナビ(特に“レイ”とかそういう名前を付けているわけではない)の言うことには、今日は「恐竜の日」なわけである。由来がいまいちぴんとこない日なのはここに書くまでもないことなのだが、そういうわけでうまくタイミングを合わせたのか、恐竜博2019に展…

そのうち移転するおしらせ

4月である。R-TYPEの新作に筆者のバイド汚染された領域は疼き、茨城県博の特別展(どういうわけか本ブログが協力機関として挙げられている)はとっくに始まり、そしていつの間にか恐竜博2019のサイトはリニューアルされてまともな代物になっていたわけである…

平成のうちには間に合わない話

新年度である。もろもろの罪に問われた筆者はしばらく前から流刑になっているわけだが、とりあえず7月12日かそこらには上野に出頭しなければならないようだ。 さて、筆者が(かつての)本業のライフワークとしていた某上部白亜系の小露出だが、ここでは以前…

テンダグルの丘を越えて

↑Composite skeletal reconstruction of Giraffatitan brancai largely based on paralectotype MB.R.2181 with complete skull MB.R.2223. Scale bar is 1m for MB.R.2181. The largest specimen (formerly known as HMN XVII) is approximately 13% larger…

失われた者たちへの鎮魂歌

↑Skeletal reconstruction of famous Smithsonian trikes. Top, Triceratops horridus USNM 2100; bottom, Triceratops sp. USNM 4842. Scale bar is 1m. スミソニアン――本ブログの読者にはたぶんUSNMと言った方が通りがよい――の恐竜展示の歴史は当然古く、…

君はあの影を見たか

↑Skeletal reconstruction of huge hadrosaur Shantungosaurus giganteus (composite; including holotype GMV 1780-1) and Saurolophus angustirostris (composite; largely based on MPC-D 100/764). Scale bar is 1m for GMV 1780-1 and MPC-D 100/764. …