GET AWAY TRIKE !

恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

企画展「体験!発見!恐竜研究所 ようこそ未来の研究者」レポ

 会期が始まってからだいぶ経ってしまったわけだが、そうは言ってもゴールデンウィークはこれからであり、修羅場はこれからであろう。そういうわけで開幕セレモニーにおよばれしてきた筆者だが(なんなら本ブログも協力機関としてクレジットされている)、ミュージアムパーク茨城県自然博物館の企画展「体験!発見!恐竜研究所 ようこそ未来の研究者」について、ごくかいつまんで紹介しておきたい。
 本企画展は大変「教科書的」な展示企画となっており、その内容はおそろしく網羅的である。図録の作りも含めて、基本の「き」から最新のトピックまで追いかけられる作りなわけである。会場・図録ともツク之助(最近筆者と手を組んだ)によるやたら親しみやすい絵に溢れている一方で、妙にマニアックな標本がちりばめられているあたりはさすがといったところである。茨城県白亜紀の化石をきっちり並べているあたりもさすがに地元(というにはだいぶ遠いが)というべきで、最近発見された巨大なスッポンの化石(撮影禁止)まで展示されている。

イメージ 1
 改めて見るとやはりとんでもなくデカいわけである。常設展示のエウオプロケファルス・トゥトゥス(あるいはスコロサウルス・スロヌス――ペンカルスキ―の分類にはかなり懐疑的な筆者である)と比べてみれば、うっかりアンキロサウルスの全長を11mほどと見積もったクームズの気持ちもよくわかるものである。

イメージ 2
 主に巡回要員と化している感はあるが、茨城県博のカルノタウルスは日本で初めて展示された代物(の成れの果て)のはずである。キャストとはいえ頭骨を間近で見る機会は案外少ないわけで、原記載では実態のつかめない無残な変形っぷりがよくわかる。前頭骨の角は本来ほぼ水平に伸びていたと思われる。

イメージ 3
 タッチ要員で“ウルトラサウロス”のホロタイプBYU 9044(今日ではスーパーサウルスの胴椎とされている)のキャストが置いてあったので肝を抜かした筆者である。サイズの割に極めて繊細な代物であることがよくわかる。

イメージ 4
 そしてその奥にしれっと鎮座しているのはウルトラサウロスとされていた肩甲烏口骨BYU 9462(あくまでもホロタイプは胴椎の方である)である。やたら細い肩甲骨ブレードの軸部が目を引く。

イメージ 5
 目玉展示ということでさすがに大迫力である(ジェーンの薄さがやけに目に付く)。床置きされているぶん、実際のサイズ感そのままなのが地味に嬉しい。幼体はLACMのマウントと同型(=常設展示されているLACM 28471が載っているもの)が展示されると思いきや、タルボサウルスの幼体準拠の頭骨の載ったタイプであった(スケジュールの関係でやむなく常設のLACM 28471のキャストの写真をうまいこと企画展のポスターに使ったということのようである)。

イメージ 6
 隙をつけばジェーンの写真も撮り放題である。

イメージ 7
 例によってしれっとおさわりOKになっているのはUCMP 118742のキャストである。ポールによる伝説の推定値で有名な(そんなことはない)この標本だが、とりあえずおさわりのついでに色々な角度から観察できる。

イメージ 8
 むかわ竜の後方胴椎(撮影禁止)をはじめ、各地のご当地恐竜も色々と展示されている。産地の話はさておき、ニッポノサウルスの(ろくでもない出来のマウントではない)キャストを見る機会もあまりないところである。

 写真で紹介したものは展示のごく一部であり、様々な時代の様々な分類群(恐竜以外も含めて)がかき集められている。展示品のチョイス(トリを飾るのは、筆者がかつて散々触りまくった連中である)もさることながら、映像による解説も要所で光っており、ついでに書き加えておくとちびっこがGAT印の骨格図を奪い合うことさえある。毎年おなじみの福井に加え今年の夏は上野でも恐竜展なわけだが、その前哨戦に(あらゆる意味で)ふさわしい恐竜展といえよう。