来週水曜日にNHKの恐竜番組があるのはさておき(例によってCGがむごいようだ;給料から受信料が天引きされている筆者である)、問題は番組の紹介サイト(NHKと北大双方にある)である。むかわ竜の(おそらく完全にクリーニングの終わった)化石の写真がそれなりの解像度で置いてあるのである。
解像度は北大のサイトの方が良好(ついでに右クリックも有効)である。NHKの方の写真を見る限り、これらにはほとんどパースが付いていないようだ(クレーンでかなり高いところからほぼ真上で撮ったのだろう)。全身骨格の写真に付いたパースの問題は常に難題だが、今度はそうではないのだ。
昨年春のプレスリリースから比べれば違いは一目瞭然で、つまりはプレスリリースの段階では結局それなりの量が未クリーニングだった計算になる。仙椎を除けば椎骨はかなり揃ったようで(尾椎はどうも中位以降ははっきり一続きのようだ)、腸骨も結局完全であった(座骨が近位部しか残っていないのがやはり惜しい)。何より見事なのは頭骨で、吻がすっぽ抜けていることを除けば(少なくとも「ガワ」に関しては)かなり完全である。吻が欠けている点にしても、歯骨は(というより下顎は前歯骨以外ほぼ揃っているようだ)完全で、吻の長さは容易に推定できるわけである。
かくしてほぼ全身が揃ったわけだが、プロポーションに関する印象は特別昨年のプレスリリースから受けるものと変わらない(すでに四肢はそっくり出ていたし頭骨も要はあったわけで、ある種当然ではある)。スレンダーな上腕骨からしてむかわ竜がサウロロフス亜科なのはたぶん確実だろう。頭はサウロロフス族や(少なくとも派生的な)エドモントサウルス族と比べて小さく(かといってブラキロフォサウルス族ほど小顔でもないようだ)、このあたりのバランスはグリポサウルスに近そうだ。
一方で前肢はグリポサウルスよりも短く(ブラキロフォサウルスに近いバランスのようだ)、上腕骨はサウロロフス亜科にしてもかなりスレンダーに見える。肩甲骨もほっそりとしており、このあたり二足歩行傾向はかなり高かったのだろう。
上腕骨だけでなく大腿骨もハドロサウルス科としては非常にほっそりとしており、全体的に老齢個体の印象は受けない。大腿骨遠位端の粗面(しばしばアーティファクトでは覚えたてのスパチュラで彫られたような初々しい面で表現される)はほとんど未発達のようで、胴椎の思わせぶりな保存状態と相まって、サイズの割にはわりあい未成熟だったのかもしれない。