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恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

メガ恐竜展2015 レポート

 本業の方でバタバタしてたりなんだりでまたちょっと間が空いてしまったのだが、気を取り直してメガ恐竜展のレポート記事といきたい。隙を見て2回行った筆者(1回目はうっかりワンフェスとぶつかって地獄を見、2回目は謎の超豪華メンバーだった)だが、色々な意味で楽しめた(意味深)展示であった。

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 会場に入ってもういきなりこれである。たのしそう(小学生並の感想)

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 色々とものすごいというか、今のご時世案外貴重かもしれない。とりあえずこっちみんな

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 こいつは10人くらいは人を殺しているようにみえる。生命大躍進の子とは大違いである。

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 あまり扱いがパッとしない感じもある(何しろ胴椎ひとつである)が、アンフィコエリアス・フラギリムスの「模型」も出迎えてくれる。モデルになっているのはカーペンターによる復元のようだ。

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 MORから福井にいつの間にか身売りされていた(あるいは量産型なのか?)トロサウルスの模型。頭部の芯になっているのはMOR 1122(の復元)のレプリカであり、角竜の頭骨化石でも屈指のサイズだけあって見ごたえがある。

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 エントランス部分はもっとヤバい造形の模型もあってとても楽しいのだが、キリがないので割愛。このショニサウルスの頭骨は、科博に常設展示されている標本をベースに復元(ほぼイチから作ったようなものだろうが)されたもののようだ。実質模型とはいえ、魚竜の3D頭骨が見られるのは嬉しいところ。

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 バシロサウルスしか見えていないが、この辺は(出来はともかく)かなり珍しい骨格が多い。素直に巨大海洋生物展でも良かったんじゃ・・・とか思ったりもする筆者である。写真は割愛するが、ちょこちょこ無脊椎動物連中にも面白いものがある。(微妙に生命大躍進展と被ってくるあたりがアレだが。。。)

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「ところで俺の(自主規制)を見てくれ。こいつをどう思う?」
「すごく・・・大きいです・・・」

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 そうこうしているうちに恐竜のお目見えである。必ずしもメガな連中ばかりではないのだが、案外通好みな標本が多い。たとえばこれは群馬県博のカマラ+カーネギーの産状カマラである。

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 アンテトニトルスはかなり玄人好み・・・だと思うのだが、幕張ではとっくにおなじみになってしまったせいかあまりありがたみはない(殴

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 色々すっ飛ばして今回の主役、トゥリアサウルスの復元骨格(前半身)。全体的に模型臭い作りだが、肩帯を何とかすれば結構みられる代物だろう。足元には部分的な頭骨やら共産したカルノサウルス類の歯(撮影禁止―――そのうち論文にするのだろう)もあり、むしろ足元のほうが必見かもしれない。

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 エウロパサウルスは出来がいい(コンポジットではあるのだが)せいかホッとする。エウロパサウルスの実物化石もかなり展示されており、保存状態の良さにため息が出ること請け合いである。

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 個人的な今回の目玉はエウへロプスである。こいつの保存状態の良さは読者の皆様にはご存じの通りだろうが、やはり素晴らしい。

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 復元骨格は福井県博が手掛けたもので、近年の例(未命名のタイ産鳥脚類、コンカヴェナトル)と同様なかなかよくできている。肩帯の復元はなかなか難しいところだろうが。。。

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 復元骨格にしてしまうと、案外首の長さは気にならなかったりもする。前半身(いわゆるexemplar aとcからなる)と後半身(exemplar b)とでは、前半身の方がやや大きい個体だというのだが、実際問題大した差ではなさそうだ。エウへロプスの骨格図はそう遠くないうちに書きたい筆者である。

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 目玉のひとつなのにパーフェクトスタン(手前の鼻骨)とデカすぎる立て看に隠されてしまうかわいそうなお友達リスロナクス。ガストンデザインがわりと無茶して作った骨格ではあるのだが。。。

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 予告も何もなかったのでビビった今回の個人的目玉その2、MWC 7584のレプリカ。地元の某博物館が所蔵しているという話は聞いていたのだが、現物にお目にかかるのは初めてである。当然とんでもなくデカい。上眼窩角とフリル後半部はお察しの通り復元で、全体としてかなり上下方向に押し潰されているようだ。

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 コウガゾウのほか、ケナガマンモスやファルコネリちゃんなども展示。もうちょっと他の骨格と比較しやすいレイアウトだと良かったのかもしれない。

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 こいつらも「メガ」であることを忘れてはいけない。



 読者のみなさまはもうお察しだろうが、「メガ恐竜展」はかなり混沌とした展示である。M.ザンダーによるもろもろの解説パネルがずらりと並び、それに沿った展示ということではあるのだが、うーん。コンセプトがはっきりしているのは悪いことではないのだが、この辺難しいところなのかもしれない。
 トゥリアサウルスの骨格の出来は(前評判通り)アレな感じだが、なんだかんだで見るべき標本は多い。「メガ恐竜展」というタイトルには一抹の疑問が残るが、ジュウレンジャーみたいなものだと思えばこんなものだろう。

(今回ひとつ注意が必要な点として、図録の作りがあげられる。展示の「シナリオ」にページをかなり割いたせいか、展示標本リストとしてはかなり不完全な代物(そもそも所蔵先のきちんとしたリストが存在せず、図録に写真が掲載されていない標本もかなり多い)となっているのだ。場合によっては、展示キャプションを一つ一つ写真にとっておいた方がいいのかもしれない。)

(というわけで、ご同行頂いた皆様には大変お世話になりました。何か機会があればまたよろしくお願いします)