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恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

恐竜博2016レポ

 さて、気が付けば恐竜博2016が開幕していたわけである。幸い開催初日に潜り込むことができたので、とり急ぎ(?)簡単に紹介したいと思う。これから見に行かれる方の参考になれば幸いであるが、毎度ながら適当に紹介していくので参考になるかどうかはわからない。

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 来場者を出迎えてくれるのはなんとアシリサウルスAsilisaurus(本展ではマスコット的な扱いを受けており、謎の大躍進を見せている)の復元骨格である。なかなかこの手のシレサウルス類(恐竜ではない)の復元骨格は見る機会も無かろう。ベースとなった標本は、頸椎と胴椎以外はかなりよく揃った骨格のようだ。

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 もはやおなじみのエオラプトルEoraptor(左)とエオドロマエウスEodromaeus(右)。

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 いつの間にかできていたヘテロドントサウルスHeterodontosaurusの復元骨格(セレノ謹製の復元頭骨はペゴマスタックスPegomastaxの絡みでよく出ていたので、どうもそれと同時期に作られていたようだ)。頭でっかちで腕の長いプロポーションがよくわかる。

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 貴重な日本勢。科博のオールドコレクションのようだ。

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 メガ恐竜展でも群馬から出稼ぎに来ていたカマラサウルスCamarasaurus幼体。後ろに見えるのはカマラサウルスの成体(かなりの大型個体を想定しているもよう)のシルエット。東京海上のみでの展示になるらしいので注意されたし。

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 目玉のひとつ、チレサウルスChilesaurus。頭骨と尾の長さはひとつキモというか、厄介なところである。

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 チレサウルス産状レプリカ・・・なのだが、本来頭骨はもっと不完全な状態であった点に注意。

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 エピデクシプテリクスEpidexipteryx(レプリカ)。これも東京会場限定のようだ。写真がひどいのでぜひ実際に観察されたい。

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 イーYiのレプリカも来日。説明板の補足がありがたいところである。思っくそ筆者が映り込んでいるのはキニシナイ。

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 ジェホロルニスJeholornis(レプリカ)は貫禄のデカさである。羽毛の痕跡はともかく、骨がいい具合に見やすい位置で化石化してくれているのはありがたい(?) このエリアではほかにミクロラプトル(グイ)やイーシャノルニス、コンフキウソルニスのレプリカが展示されているが、これらのうち鳥類化石については会期中(具体的な時期はまだ不明)に実物と交換されるとのことである。

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 目玉のひとつ、ティラノサウルスTyrannosaurusの“スコッティScotty”。ティラノサウルスの復元骨格の中でもかなり大きい部類で、しかも珍しいカナダのフレンチマン層(サスカチュワン)産である。腹骨の復元はもはやスタンダードになりつつあるのかもしれない。

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 スコッティの頭骨アップ。下顎の病変の跡がよく見える。頭骨については実物及び復元レプリカが恐竜博2005で来日しているので、パンフをお持ちの方はぜひ見比べていただきたい。

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 本展の主役、スピノサウルスSpinosaurusの復元骨格。復元云々は置いといて、足が短くなったとはいえ棘突起のこともあるし、何しろ全長がかなり長いので大迫力である。本展で展示されているタイプは量産第一号と比べてフレームが減っており、全体的にすっきりしてみえる。

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 復元骨格の腰帯と後肢。腰帯は案外不完全な状態であり、恥骨あたりは多分もう少し違って見えたはずである。

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 ご存じスピノサウルスのダル・サッソ標本(実物:東京会場のみでの展示らしい)。鏡のおかげで腹側面の観察できるうえに、前方そして後方の破断面の観察もできるという気の入れようが嬉しい展示である。吻端の神経孔が生々しい。

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 福井から続投・・・とみせかけて、仙椎などが復元された新しいイクチオヴェナトルIchthyovenatorのレプリカ。将来的には(これらのレプリカをスキャンした上で)フルの全身骨格を復元する計画もあるようだ。

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 先日紹介したカスモサウルスChasmosaurusの幼体UALVP 52613(実物!)。ため息の出るほど美しい標本である。実物頭骨も展示されているので、ぜひともじっくり観察されたい。

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 これも目玉のひとつ、パラサウロロフスParasaurolophusの幼体(実物)。頭骨の左半分は取り外されて置かれているので、これもぜひじっくり実物を観察されたいところである。カスモサウルスと同様、記載論文で予習していくのもいいだろう。

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 クラウドファンディングも話題を集めたチンタオサウルスTsintaosaurus。改めて見るとかなりの迫力である。頭骨はぜひじっくり観察して、「新復元」との具体的な違いについてよく考えてみるといいだろう。

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 ヒロノリュウの頸椎。こうしてみると、保存状態はなかなかのものである。

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 クリンダドロメウKulindadromeusの尾のウロコ(レプリカ)。ぞっとするほど保存のよい代物である。

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クリンダドロメウスの復元骨格(レプリカ・・・というか完全な模型であろう)。尾は多分もっと長くても罰は当たらない。



 以上、写真のまともに撮れた展示について、ざっくり紹介してみた。もちろん紹介しなかった標本も数知れず(今更またカスモサウルスの復元骨格(過去2回同型のものを紹介している)を紹介するのもアレであろう)、そのあたりはご容赦願いたい。
 実のところ、本展最大の見どころ(と筆者が勝手に思っているもの)は上で紹介した化石ではない。3月8日~4月3日および6月2日~6月12日までクリーニング実演の対象として展示されるサウロルニトレステスSaurornitholestesの尾以外完全な骨格UALVP 55700(以前ちらっと紹介した標本である。バリバリの研究中なので当然撮影禁止。ただ、図録には写真が出ている)がそれである。色々な意味でとんでもない標本であり、この化石のためだけに通うのもアリとまでいえる標本である。
 また、4月4日~6月1日(うろ覚え)は、サウロルニトレステスの代わりにむかわ産ハドロサウルス類のクリーニング実演が行われるという(現時点では大腿骨が撮影禁止ではあるものの展示されている)。表の主役はスピノサウルスだが、小物の方がヤバいものが揃っているといえるかもしれない。