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恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

恐竜王国2012始末記番外編の番外編

イメージ 1
Sinoceratops zhuchengensis, Zhuchengtyrannus magnus,
Shantungosaurus giganteus
Sinoceratops based on ZCDM V0010, 0011.
Zhuchengtyrannus based on ZCDM V0031.
Shantungosaurus based on described material of GMV 1780.
Scale bar is 1m.

 先日ちょっとした報道があったのでご存知の方もおられるだろう。福井県立恐竜博物館と中国の諸城恐竜国家地質公園が姉妹館協定を締結し、2016年~2017年にかけて福井・大阪・名古屋と諸城の恐竜の巡回展が行われることが決まった
 諸城の恐竜といえば恐竜王国2012の目玉のひとつであったわけで、色々な伝説を残した。復元骨格の出来はもはや(悪い意味で)信頼と安心のクオリティだったのだが、諸城の恐竜化石は実際のところ非常に大きな意味をもっている。魅力的な種も多く、そういうこともあって本ブログでは散々(始末記と題して)取り上げてきたわけである。
 そんなわけで性懲りもなくまた記事を書くので、お付き合いいただきたい。幸いちょっとググったところ大量の良い写真を見つけたので、それと合わせてちょいちょいと書きたいと思う。

 さて、恐竜王国2012ではズケンティラヌス、“フアシアオサウルス”、“ズケンゴサウルス”、シノケラトプス、未命名竜脚類の復元骨格が展示された。その後(?)ズケンケラトプス未命名のアンキロサウルス類の復元骨格も製作され、諸城恐竜国家地質公園などで展示されているようだ。
 出来については相変わらずなのでここでは深く語らないが、アンキロサウルス類の復元骨格はかなりデカい。写真奥の“ズケンゴサウルス”(恐らく全長16.6mのタイプ)や手前に写っている人からすると、ざっと全長6mは下らないように見える。鎧竜で全長6mはかなり大きい部類といえる。

 また、産状(の再現)写真もいくらかネットで見つけることができる。シノケラトプスの頭骨や、ズケンティラヌスの下顎と肩甲骨が写っているものもある。
 写真を見る限り、シノケラトプスの頭骨は模式標本の産状(の再現)であるようだ。実際の模式標本では鼻角の中ほどから先が欠けていたり、もう少しフリルの正中バーが欠けていたりもするのだが、その辺は復元レプリカを崩して使ったせいだろう(ひょっとすると、発掘中に損傷したということを意味するのかもしれない)。ズケンティラヌスの下顎は模式標本では欠けている角骨・上角骨が存在することや、上顎骨と交連状態ではないらしいことから、どうも模式標本とは別の個体を表しているように思える。肩甲骨も同一個体らしさを漂わせている(本当に同一個体かどうかは寡聞にして知らないが)。

 恐らく今後数年のうちに、諸城の未記載の恐竜について続々と記載がなされることだろう。来年から始まる巡回展では、ぜひ以前紹介した未記載組の展示も欲しいところである。
 諸城の恐竜の復元骨格については、わりと「目くらまし(ムスカの声でお楽しみください)」の印象が強い。ボーンベッドの規模は世界でも有数なのは確かであるし、アジアと北米の恐竜相について論じていく上で非常に重要な標本を多数産出しているのもまた確かである。その辺、見る側の腕の見せ所(?)ということなのかもしれない。なんにせよ、今から(懲りずに)楽しみにしている筆者である。