前記事でスティラコサウルスの骨格について簡単に書いたわけである。なかなかケラトプス科角竜の復元骨格を国内で見る機会(というか種類)は限られており、角竜スキーの筆者としては残念な限りである。
というわけで(?)、(筆者が確認している限りの)ケラトプス科の骨格について簡単に書いておきたい。各自ググられることを推奨する。
カスモサウルス亜科Chasmosaurinae
メデューサケラトプスMedusaceratops
2体の復元骨格(模式標本を組み込まれたものも存在)、および準備中のもう1個体が存在する。過去記事を参照のこと。
カスモサウルスChasmosaurus
現状、C. belliの復元骨格(ROM 843、CMN 2245)とC. russelliの復元骨格(CMN 2280(純骨))が存在する。ROM 843とCMN 2280については最近(?)組み立て直されているようだ。キャストが世界各地に存在する(日本にもROM 843は存在)。
最近、幼体のほぼ完全な骨格も発見されているが…。
ペンタケラトプスPentaceratops
スウェーデンのウプサラ大にP. "fenestratus"の純骨を組み立てたもの(PMU R.268)が存在する。肝心の頭骨以外、骨格の大部分のよく揃った化石である。
ユタケラトプスUtahceratops
複数個体から製作した復元骨格の販売が開始されている。アメリカ各地で見ることができるようだ。体骨格の要素については実質的に記載されていない。
ヴァガケラトプスVagaceratops
最近までカスモサウルス・アーヴァイネンシスと呼ばれていたものである。模式標本CMN 41357は関節した体骨格(尾以外ほぼ完全)だが、組み立てはせずそのまま展示されている。
コスモケラトプスKosmoceratops
模式標本UMNH VP 17000を元にガストン・デザインによって復元骨格が製作されている。体骨格について記載されていないのはユタケラトプスと同様である。
コアウィラケラトプスCoahuilaceratops
模式標本CPC 276を元にした復元骨格がユタケラトプス、コスモケラトプス同様ガストン・デザインによって製作されている。体骨格はこれも未記載である。
“アンキケラトプスAnchiceratops”
ウォールマウントになったCMN 8547(の実物)が有名だが、最近の研究でアンキケラトプスの骨格であるか怪しくなってきている(アンキケラトプスである可能性も依然残っている)。
“ティタノケラトプスTitanoceratops”
本属の有効性云々についてはひとまずおいておいて、ペンタケラトプスとして復元された有名な骨格(模式標本OMNH 10165、純骨)が存在する。
トロサウルスTorosaurus
あまり知られていないが、T.ラトゥスlatusの復元骨格はちゃんと存在する。かなり大きな標本(MPM VP 6841:頭骨の長さが2.7mに達する。純骨)である。また、MOR 1122をベースにした「模型(半身が生体復元)」も存在する。
T.ホリドゥスhorridus、T.プロルススprorsusともに多数の復元骨格が存在する。幼体(MOR 2951)の復元骨格も製作されている。
日本ではAMNHの合成骨格(頭部はホリドゥス)、LACM 59049(プロルスス)、ケルシーことTCM 2001.93.1(ホリドゥス、ただし常設展示ではない)、レイモンドことNSM-PV 20379(ホリドゥス、実物)、GMNH PV-124/125(124は床下ボーンベッドの実物、125はそれのキャストを組み立てたもの;プロルスス)、Yoshi's TrikeことMOR 3027(ホリドゥス?)を見ることができる。
セントロサウルス亜科Centrosaurinae
アルバータケラトプスAlbertaceratops
純骨を組み込まれたものが福井に展示されているのだが…。過去記事参照
アヴァケラトプスAvaceratops
模式標本ANSP 15800を組み上げたもの(キャスト)が存在する。複数ver(上眼窩角の復元が違う)あり。
セントロサウルスCentrosaurus
YPM 2015(半身が生体復元、純骨)とAMNH 5351(有名な「モノクロニウス」のウォールマウント、純骨)が存在する。また、皮膚痕の保存されているAMNH 5427(体骨格の大部分)が組み立てずにそのまま展示されている。
スティラコサウルスStyracosaurus
前記事のとおりである。CMN 344(模式標本、純骨)とAMNH 5372(ウォールマウント、純骨)のほか、組み立てられていないほぼ完全な亜成体の骨格(TMP 89.97.1)が存在する。
“ブラキケラトプスBrachyceratops”
恐らくルベオサウルスRubeosaurusの幼体だが、ここではそれについては触れないでおく。複数個体を組み合わせた復元骨格(純骨)がUSNMに展示されている。
エイニオサウルスEiniosaurus
亜成体と幼体の復元骨格(純骨含む)がカナダフォッシルによって製作されている。(すでにどこかに買われた模様)
シノケラトプスSinoceratops
過去記事参照。模式標本ZCDM V0010(のキャスト)を組み込まれている。
パキリノサウルスPachyrhinosaurus
P.ラクスタイlakusutaiは複数の復元骨格(半ウォールマウントのもの、そして幼体を含む。純骨を使用したものも存在)が製作されている。また、P.ペロトルムperotorumも複数個体(なのか?模式標本DMNH 21200を含む)を組み合わせた復元骨格(キャスト)が存在する。さらに、パキリノサウルスと思しき未命名の種(TMP 2002.76.1、記載準備中か)の復元骨格(純骨)も製作されている。
以上、凄まじく大ざっぱだがケラトプス科角竜の復元骨格について書き連ねてみた。だいたいこんな感じのはずである。質問などはコメント欄にてぜひ。