GET AWAY TRIKE !

恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

カザフスタンのティラノサウルス類

イメージ 1
↑Right dentary of unnamed tyrannosaurine-tyrannosaurid 
IZK 33/MP-61 from Kazakhstan. 
 
 本業が微妙に立て込んでたりで1週間近くほったらかしにしてしまっていたわけである。ミネラルフェアも近いし、かはくのプレスリリースもぼちぼち出てくるはずなので(?)、平常ペースに戻したいと思う。
 
 カザフスタンといえばアラロサウルスといったマイナー種(の中ではわりとメジャーどころ)で有名だが、それ以上にいかがわしい化石で有名である。ミネラルショーに足を運べば、怪しげなカザフスタン産の化石がよく売られている(場合によっては、カザフスタン産ではない化石もあったりするようだ)。
 カザフスタンにおける恐竜化石の発掘は1920年代には始まっており、今日に至るまで(断片的なものがほとんどではあるが)興味深い化石を産出し続けている。一方で既知の標本の再検討も進められつつあり、最近だとカザクランビアKazaklambia(元々はプロケネオサウルスProcheneosaurus属だった)が記載されていたりする。
 
 カザフスタン東部のZhetysu地域では1926年から恐竜化石が採集されており、手ティタノサウルス類やティラノサウルス科、ハドロサウルス科、アンキロサウルス科の産出が知られている(ケラトプス科とされる脛骨も知られていたのだが、どうもそうではないらしい)。
 層序学的な研究はあまり進んでいないらしい(何しろ地層の名前が付いていない)のだが、とりあえず年代はカンパニアン~マーストリヒチアンのいつかとされている。
 Zhetysu地域の中でも、とりわけカラ・チェクKara-Chekuからは目を引く化石が発見されている。それがIZK 33/MP-61である。
 この標本が採集されたのは1950年のことであり、とりあえずTiranosaurus [sic] sp., similar to T. baator [sic]あるいはTiranosaurus aff. bater [sic]とされたきり、カザフスタンの博物館でひっそりと展示されていた。歯はほとんど脱落しているものの歯骨はほぼ完全であり(後端がやや欠けている)、部分的ではあるもののかなり重要な標本である。
 近年この標本は詳細に記載され、ティラノサウルス亜科のなかでも派生的なもの―――ティラノサウルス、タルボサウルス、ズケンティラヌスからなるグループに含まれる可能性が指摘されている。一方でこの標本にしかみられないらしい特徴(左右の歯骨の結合面symphysis;sy が滑らか)もあるという。年代がはっきりしないのが残念ではあるが、色々と興味深いところである。
 
 これで終わればいつも通り、新標本の発見に期待とでも書いて〆られるのだが、そうは問屋が卸さない。こんな標本 が出ているのである。
 色々な意味で断定のしようがないのだが、多分この標本はIZK 33/MP-61と同じ(新?)種に属するのだろう。これと同等かそれ以上の標本が、然るべき研究機関の手に渡ればいいのだが。。。