↑Comparison of right squamosal of Maastrichtian chasmosaurines.
A, Triceratops horridus MOR 1120. B, Triceratops prorsus MOR 2702.
E, Torosaurus latus MOR 1122. F, "Torosaurus" utahensis USNM 15583.
G, "Torosaurus" sp. EM P16.1.
Modified from Scannella and Horner (2010), Sullivan et al. (2005),
and Tokaryk (1986). Scale bar is 10cm.
先日こういうニュースがTwitterに流れていたのでご存知の方もおられるだろう(nさんありがとう!)。BillyことBHI 4772はどうもトリケラトプス・ホリドゥスではなくトロサウルス・ラトゥスだったようだ。
(もっとも、未記載とはいえBHI 4772をトリケラトプスと同定することには慎重な意見もあった。ラーソン自身、タタンカケラトプスの記載論文中にてBHI 4772をcf. Torosaurusとして扱っていたりもする。)
トリケラトプスと比べてトロサウルスのフリルが長いことはよく知られている。すなわち、頭頂骨だけでなく鱗状骨もトロサウルスの方が相対的に長い。とはいっても、なかなか長さの議論は難しかったりもする(なんだかんだ個体差があるのだ)し、形もわりかし個体差がある。そういうわけで前置きが長くなったが、トリケラトプスとトロサウルスを見分ける重要なポイントの一つを適当に書いておきたい。
↑トロサウルス・ラトゥスANSP 15192のsquamosal bar(矢印)
頭頂骨-鱗状骨の縫合線を青線で示す。wikipediaより改変
↑トロサウルス・ラトゥスMOR 1122。squamosal barがはっきりと確認できる。
これを踏まえて改めてBHI 4772の鱗状骨を見ると、確かにsquamosal barらしいものが確認できる。明らかにBHI 4772は亜成体なので、squamosal barは成長に従って顕著になっていくということなのかもしれない。
ここまで書いてなんとなく察してくれた方もおられようが、やはり筆者としてはAMNH 5116がトロサウルスのような気がしてならない。AMNH 5116の鱗状骨(上図)には、そこはかとなくsquamosal barらしきものがあるようにみえる。
とかなんとか言いつつ、AMNH 5116の鱗状骨の保存状態はかなり良くないので、実際のところは微妙でもあるのだが…(頭頂骨はもっと不完全なようだ)。