↑Preliminary skeletal reconstruction of Koshisaurus katsuyama.
Based on available materials
(probably same individual; include holotype FPDM-V 9079).
Scale bar is 1m.
なかなか日本でのメディア発表がなかったのでやきもきしたのだが、ようやく情報が流れだしたので便乗したい(骨格図はもうひと月前にでっち上げて寝かしておいたのだ)。福井県では4種目となる恐竜、コシサウルス・カツヤマが命名された。
コシサウルスが発見されたのは、第3次調査の真っただ中であった2008年である。これまで恐竜化石の報告のなかった層準からの発見であった。
(福井の恐竜発掘現場の露頭では4つの恐竜化石産出層準が確認されている。露頭の最下部に位置するBBⅠ(フクイラプトル、フクイサウルス、フクイサウルスとは異なるイグアノドン類が産出)、BBⅠのおよそ10m上位のBBⅣ(コシサウルスが産出)、BBⅣの2m上位に位置するBBⅡ(フクイティタンが産出)、BBⅡの1m上にあるBBⅢ(未命名のドロマエオサウルス類の全身骨格が産出)である)
化石は断片的であったが全て同じ個体に由来すると考えられ、2013年には学会で報告がなされている。この時点でフクイサウルスとは異なる鳥脚類であること、3歳以上の幼体であることが指摘されていた。
今回コシサウルスの記載にあたって系統解析が行われている。それによれば、コシサウルスは基盤的なハドロサウルス上科に位置付けられるという。(ラチャシマサウルスRatchasimasaurus―アルティリヌスAltirhinus―ジンタサウルスJintasaurusクレードより派生的で、エクイジュブスEquijubus+シューウーロンXuwulong―ペネロポグナトゥスPenelopognathus―ジンゾウサウルスJinzhousaurusクレードとゴンポチュアンサウルスGongpoquansaurus(とそれより派生的な連中)と姉妹群であるとされた。(ペネロポグナトゥスはググってもピンと来なかった筆者である)
一方でフクイサウルスの系統的な位置付けも見直されており、プロアProaと姉妹群になった(さらに言うとフクイサウルス+プロアのクレードはイグアノドン・ベルニサーレンシスと姉妹群である。筆者的にはちょっと意外な結果だった)。
産出層準が産出層準なので、基盤的ハドロサウルス形類Hadrosauriformesであるフクイサウルスと、基盤的ハドロサウルス上科Hadrosauroideaに属するコシサウルスが共存していた可能性は十分ある。未命名のイグアノドン類の存在も考えると、かなり豊かな生態系が広がっていたといえそうだ。目下コシサウルスの化石は断片的だが、追加標本の発見にも期待したいところである。
■追記■
系統関係について分で説明するとあまりに分かりにくいので、コシサウルスの記載論文より図を引用して掲載しておく。このあたりの系統はしょっちゅう変わるので、その旨を頭に入れておいてほしい。