GET AWAY TRIKE !

恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

時には昔の話を

ナイオブララサウルス君はね、また転校してしまったんだ
嘘よ嘘―

 When Dinosaurs~は今回もお休み(予想以上にナイオブララサウルスに手こずった)だが、ちょっとしたことを(忘れないうちに)書いておきたい。

 ご存じ小田隆先生のブログだが、さりげなくめちゃくちゃ重要な情報(主に復元画の制作過程で露出)がちらほら書いてあるので要注意である。さて、もう8年以上前の記事ではあるが、ちょっと目を引くものがあるので(勝手に)紹介したい。記事中で引用されている論文の図版はT.プロルススの模式標本YPM 1822であることは言わずもがなである。

 リンク先を見ていただければお分かりのことだが、かなり胡散臭いトリケラトプスの頭骨(レプリカ)の写真がある。2アングルの写真なのでかなり概形をつかめるのだが、記事中でも触れられているとおりトリケラトプスにしては妙な形態である。

 (トリケラトプスにしては)相対的にフリルがかなり大きく、また鱗状骨の形態は(キールが存在しないことを除けば)トロサウルス的である。縫合線ががっつり残っており、亜成体であるらしいことを示している。上眼窩角は細長く、基部が肥大していないあたりはやはり亜成体的である。両目の間の左右幅はかなり広く、奇怪ですらある。フリルが大きい分吻は短めなのだが、特に鼻骨が短いようにみえる。
 見るからに前上顎骨と吻骨、それに前歯骨はパチ臭い(さらに言えば、下顎そのもののサイズが合っていないようにも見える)オリジナルの写真を見る限り、あまりパチ臭くはない。レプリカの方はどうも下顎の関節位置を間違えて組んでいるようだ。 縁鼻角が復元されたものかどうかはわからないが、(鼻骨がフェイクでなければ)このくらいの長さが妥当だろう。
 
 この頭骨がどの程度実物標本に基づいているかは(当然)定かではない。そもそもこの頭骨が現在どこにあるのかも不明である(ただし、筆者は数年前にこの頭骨(と同型のもの)がカナダだかどっかに売却されたのオリジナルがカナダでオークションにかけられたというニュースを見た覚えがある
 が、筆者的にちょっと引っかかったポイントがある。長いフリル、短い鼻骨、細長い上眼窩角、両目の間の左右幅が広い、かなり小さいらしい縁鼻骨、明らかに未成熟、といった特徴は“トリケラトプス・エウリケファルスTriceratops eurycephalus”(過去記事参照)と酷似している。

 全体として色々と胡散臭い話だが、ひょっとしたらこの頭骨は“T.エウリケファルス”なのかもしれない。何かこの頭骨についてご存知の方がいらっしゃれば、ぜひ教えていただきたいところである。