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恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

パキケファロサウルス類の体骨格についてgdgdと

 パキケファロサウルス類といえば、そのほとんどの標本が頭骨の一部でしかないことは賢明な読者の皆様にはご存じであろう(断言)。
 ステゴケラスStegocerasの部分的な骨格は1920年代から知られていた(そしてそれ以降発見されていない)が、その後しばらくの間パキケファロサウルス類の体骨格は発見されなかった。70年代以降アジアから断続的な発見が続き、90年代に入ってから再び北米からも報告がなされるようになった。
 そんなわけで(?)適当にこれらについて書き記しておきたい。正直記載があまりなされているわけでもなかったり某ポールの図が結構適当らしかったりで注意が必要である。

ステゴケラスStegoceras
イメージ 1
↑Gilmore, 1924より、ステゴケラス・ヴァリドゥムUA 2の骨格図。図中のキャプションの学名に注目

 1921年に部分的な骨格が発見されており、その後(80年代以降か?)これを元にした復元骨格が製作されている。産出部位の問題から頸椎や近位尾椎については詳細が不明であったため、のちのち問題を引き起こすことになった。

ホマロケファレHomalocephale
↑ホマロケファレGI SPS 100/1201(旧100/51)の骨格図 The Bite Stuffより

 産出部位は上の図に示されているとおり(+肋骨)である。今日知られているパキケファロサウルス類の体骨格の特徴の多くはこの標本で初めて確認された。原記載論文などでは吻をかなり短く復元しているが、実際は上のシルエットの方が正確であろう。

ゴヨケファレGoyocephale
↑ゴヨケファレGI SPS 100/1501の骨格図 The Bite Stuffより

 体部はわりあいに断片的(ホマロケファレなどと組み合わせてプロポーションはかなり復元できるが)だが、頭蓋骨と下顎がほぼ完全にそろっており、かなり重要な標本である。前上顎骨歯がヘテロドントサウルス類と酷似しているやらなんやらでその後の混乱の引き金となったともいえる。

プレノケファレの一種Prenocephale sp.
イメージ 2
↑プレノケファレの一種とされる化石。現在どこに所蔵されているかは不明。Dinocasts.comにかつて写真があったが現在削除されている。キャストを組み立てたものはこちら(Middle cretaceousだとかアジア産だとか凄まじく胡散臭いことが書いてある。つまりそういうことである)

 プレノケファレの模式標本と言えば美麗な頭骨なわけだが、一応体骨格も発見されている。近年(恐らくモンゴルで)本属と思しきほぼ完全な骨格(上の写真)が発見された。
 写真を見る限り、保存状態は素晴らしい。が、この標本に関しては現状記載が行われていないようで、さらに言えばどこにあるのかも不明である。(求む情報提供)

パキケファロサウルスの一種Pachycephalosaurus sp.

 90年代に、ご存じ“サンディ”が発見されている。復元骨格のキャストが量産されてそこらじゅうで見ることができるのだが、未だにこの標本に関する骨学的な記載はほとんど行われていないらしい。復元骨格にはいくつか問題点も見られ、詳細な骨学的な記載が望まれる。

“ドラコレックスDracorex
 押し潰されてはいるが非常に状態の良い頭骨のほか、頸椎が4つ発見されている。記載論文(ググるとすぐ見つかる)中で頭部~腰部について復元が試みられており、サンディの補完に役立つだろう(というか、復元されたサンディの頸部とはだいぶ様相が異なる)。

パキケファロサウルス”の一種 "Pachycephalosaurus" sp.
 以前ブログで扱ったプライベートコレクションの標本だが、骨格のかなりの部位が含まれているらしい。それ以上は一切合切不明なのだが…。(ディノプレス④参照)


 そんなこんなで、パキケファロサウルス類の体骨格については本命が未記載という悲惨な状況である。今後数年のうちに何とかなればいいのだが…。