たまには国内の話をしないと怒られる(誰に?)気もするので、タイミングも良いことだし「むかわ町のハドロサウルス類Hadrosaurid」の話をしたい。
他にもメソダーモケリス(オサガメの仲間)やモササウルス類が結構見つかっているようである。これらの化石は上部白亜系(=白亜紀後期)の蝦夷層群函淵層(カンパニアン前期~マーストリヒチアン前期?ふた昔前の資料だと函淵層群として独立している)から産出しているという。また、函淵層からは植物化石も知られているようだ。
前置きが長くなったが、この函淵層(ググって引っかかった論文の著者がうちの教授だったYO…)から、ハドロサウルス類の(部分的に?)関節した骨格が発見された。昨年(2013年)夏の時点で速報が出ており、それに続く第二報となる。
函淵層のカンパニアンーマーストリヒチアンの境界にあたる層準(7200万年前)からの産出ということで、アジア・北米のハドロサウルス類との比較が期待される。
現時点で、ほぼ完全な右後肢、左後肢の膝から下、中位尾椎24個、座骨、そして遊離歯(!)が発見されている。大腿骨の長さは1.2mあり、全長は8mと推定されている。
写真には座骨が写っているが、肝心の遠位末端がまだ岩の中にあるようで、サウロロフス亜科Saurolophinaeとランベオサウルス亜科Lambeosaurinaeのどちらに属するかは不明である。頭骨も残っている可能性が高く、いずれはっきりするだろう。
■追記
神経棘と血道弓の長さの比に基づく予察的な研究によれば、ひとまず本種はサウロロフス亜科に属する可能性があるようだ。
さて、今回発見された化石のポイントの一つとして、その堆積環境が挙げられるだろう。ハドロサウルス類ではさして珍しくない海成層からの産出になるわけだが、外側陸棚堆積物(水深80~200m!)に埋まっていたらしい。それなりに深い海に沈んだにもかかわらず関節した状態であったということで、興味深い。
付け加えるなら、この「むかわのハドロサウルス類」は、以前報告された「淡路島産ランベオサウルス類」(和泉層群・北阿万層産、カンパニアン―マーストリヒチアン境界付近;推定全長10m)と同時代の恐竜となる。産地こそだいぶ離れてはいるが年代は一致するので、比較が楽しみなところである。
さらに付け加えるなら、年代的には那珂湊層群とほぼ一致するわけで、そろそろ茨城からも恐竜化石が見つかってもいいんじゃね?と思っている筆者なのであった。翼竜もモササウルス類もスッポンも出たことだし、そろそろ…