シャントゥンゴサウルスの復元骨格 ウィキペディアより
恐竜王国2012の目玉の一つ(二つ?)だったのがフアシアオサウルスHuaxiaosaurus aigahtensとズケンゴサウルスZhuchengosaurus maximusである。鳴り物入りで宣伝されていた両者であるが、研究者の間ではもっぱらただのシャントゥンゴサウルスShantungosaurus giganteusのシノニムにされている。
ざっと3種の来歴を書いておこう。1964年に発見され、1973年に記載された全長15mの復元骨格(組み立てられたのは72年)がシャントゥンゴサウルス。80年代に行われた2次調査で発見され、1984年1992年に組み立てられた(全長16.6m)のち2007年になって記載されたのがズケンゴサウルス。そして、最近の大規模調査で発見され、2010年に組み立てられ、翌年記載された全長18.7mの復元骨格がフアシアオサウルスである。
これら3種の恐竜は、産地・層準共にほぼ同じ―――中国山東省・諸城の王氏層群、Xingezhuang層―――である。ぱっと見る限り、外見もそっくりである。そもそもなぜ、別種とされるに至ったのか。
これらの種を区別するうえで、根拠の一つとされていたのが椎骨の数である。
シャントゥンゴサウルスでは、頸椎/胴椎/仙椎/尾椎の数ががそれぞれ12/20/10/84、ズケンゴサウルスでは15/19/9/85、フアシアオサウルスでは16/21/10/81とされている。これだけ見れば、別種と考えてよさそうである。
が、最大の問題はそこにあった。これら3種はいずれもボーンベッドから複数個体が入り混じった状態で産出しており、椎骨の数にきちんとした根拠は何もないのである。上に挙げた椎骨の数は、複数個体(とキャスト)で組み上げた復元骨格のカウントなのである。
また、ズケンゴサウルスでは9個とされた仙椎だが、成長にともなって他の椎骨を取り込んで癒合する可能性が指摘されている。
これ以外に、目立ってこれらの恐竜を区別するすべはない。恐らくフアシアオサウルス、ズケンゴサウルスはともにシャントゥンゴサウルスのシノニムにあたる。
実のところ、フアシアオサウルスの全長が19m近くになるのかははっきりしない(前述の通り、椎骨の数が不詳であるため)。とはいえ、最大級のハドロサウルス類…そして2足歩行可能な恐竜の1つであったことは今のところ確かだろう。