GET AWAY TRIKE !

恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

かはくリニューアルレポ

 散々書いてきたとおり、今年のかはくは生命大躍進と常設展リニューアルが重なって阿鼻叫喚が予想される。すでにちびっ子は夏休みに突入しており、この3連休は多分地獄絵図(昨日行ったら案の定地獄絵図だった)だろう。
 読者のみなさまも、すでに夏の科博に行かれた方は少なくないだろう。かくいう筆者もリニューアル後すでに2回行ったわけである。とっくにあちこちでレポート記事が出ていると思うのだが、筆者なりに(適当に)紹介したいと思う。今回は科博のリニューアルされた常設展について、(2回分の写真を合わせて)化石絡みの展示を紹介したい。

B1F「地球環境の変動と生物の進化 -恐竜の謎を探る-」
 思ったより変化していないものである。フロア形状も原形を留めており、案外こんなものか、といった印象さえ受ける。展示標本についてはリストも参照されたい。

イメージ 11
 前室で出迎えてくれるのが今回新たに加わった展示のひとつ、ミクロラプトル・グイ(の独自性に関する云々は置いといて)の模式標本のレプリカである。かなりよくできたレプリカであり、細部までよく観察することができる。

イメージ 12
 前室を抜けるとこんな感じである。レイモンドと取り巻きの角竜頭骨に変化はない。

イメージ 13
 スタンの全身骨格に代わってバッキーのレプリカが鎮座。保存状態はともかく、完全度自体はあまりぱっとしない点には注意が必要だろう(頭骨と大腿骨・脛骨・腓骨は完全に模型である)。隣のアパトサウルスNSM-PV 20375は最近分類が微妙になってきているが、今回はキャプションの変更はなかった。

イメージ 1
 今回のリニューアルの最大の目玉(筆者調べ)がこの“サンディ”の実物である。レプリカは世界中にばらまかれたものの肝心の実物はトリーボールドの展示室で腐っており、今回日の目をみることとなった。
 骨格には純骨が組み込まれているのだが、復元部位は白色のままとなっていて一目瞭然なのが嬉しいところである。レプリカの復元骨格では「矯正」されていた後肢(各骨の骨端が欠けている点に注意)も当然歪んだままであり、色々と勉強になる展示であるともいえよう。ニッポノサウルスが撤去されたこともあって右側面からも観察することができるのが嬉しい。

イメージ 2
 頭骨は組み込まれず、復元骨格の足元にガラスケースに入れて展示されている。従来図示されていた唯一の要素でもあるのだが、やはり生で見ると違うものである。絶妙に破損しており、ドーム基部の断面なども観察できる。

イメージ 3
 新たに加わった展示のひとつ、トリケラトプス・プロルススの全身骨格LACM 59049のレプリカ。モノ自体は東海大学自然史博物館にもあるのだが、こちらは恐竜博2011のために前肢を作り直された(LACM 59049の完全度ははっきりしないが、恐らく前後肢と尾の完全度は低いと思われる。少なくともほぼ完全な頭骨と複数の椎骨(仙椎を含む)、複数の肋骨、腸骨は発見されている)改良強化新型である。やや高い場所に据えられているので少々観察しにくいのだが、わりと写真映えはする。

イメージ 4
 もう一つ、今回の目玉のひとつがこの抱卵姿勢のシチパチの全身骨格(レプリカ)である。リストなどではC. osmolskaeとされているが、こいつはいわゆるザミン・ホンド標本(IGM 100/42)―――シチパチ sp.のレプリカである。

イメージ 5
 階段(スタンの頭骨の開きは変わらず展示されている)の側に据えられている関係で、上からもよく観察できる。後肢の第Ⅱ趾が妙に短いのは多分アーティファクト(オリジナルの骨格の時点で第Ⅰ趾を組み間違えた可能性)だろう。

イメージ 6
 この辺特に変化はないのだが、キャプションがきちんとスコロサウルスに差し替えられている。手足が妙に長いのは、本標本が福井のスコロサウルスと同じサイトから見つかったことと無関係ではないだろう。


1F「地球史ナビゲーター」
 がらりとフロア形状が変わり、映像メインの展示となった。とはいえ化石は一級品が集められており、ある種「生命大躍進」の凝縮版と言っていいだろう。

イメージ 7
 恐竜博2011で前傾姿勢に組み直されたアロサウルスがシンボル展示として復帰。ポーズがちょっとアレなのと、右手に哀しみを宿している(現地で右の第Ⅰ中手骨をよく観察されたい)ものの、やはり存在感は大きい。(余談だが、このフロアは映像展示が光りまくる関係で素人にはかなり写真が撮りにくい。カメラもうちょっといいの買おう・・・・・・)

イメージ 8
 実にさりげない(そして写真がひどい)が、やはりこいつもリニューアル展示の目玉のひとつだろう。始祖鳥のブロンズ製レプリカ(タッチOK)なのだが、ベルリン標本でもロンドン標本でもなく、よりによってサーモポリス標本のレプリカである。暗くて微妙にわかりにくいので注意されたし。
 このほか、始祖鳥の側にエオラプトルの産状レプリカ(珍しく右側面が見えるように置かれている)もあるが、写真がうまく取れなかったので割愛。他にもよい標本が揃っているので、薄暗い中でも粘られたい。

3F「親と子のたんけんひろば コンパス」
 子連れでないと入場できないこのエリアだが、通路からであれば撮影が可能である。とはいえあくまでも通路なので、通行の迷惑にならないように注意されたい。

イメージ 9
 ティラノサウルス幼体はわりとタルボ幼体そのまんま(当たり前)である。デジタルデータ上で復元→3Dプリンターで出力、という新手法を存分に使っており、多分にそういうニュアンスの強い展示であるかもしれない。

イメージ 10
 スタンも後方よりの角度からであれば、かなりよく観察できる。まぁスタンは幕張に来てるみたいだし福井とか北九州にもいるから(震え声)



 というわけで、かはくのリニューアル展示の恐竜がらみの部分について、ざっくりではあるが紹介してみた。夏休み中は相当な混雑が予想される(昨日2回目の見学をしてきた筆者だが、かなりの人出であった)が、一発覚悟を決めて訪れるのもよいだろう。

 今回ご同行頂いた某Yさんには大変お世話になりました。ありがとうございました。