GET AWAY TRIKE !

恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

マンモスが渡った橋 氷河期の動物大移動

 そういえば(唐突)、かれこれ1年近く地元(決して近所ではない)の博物館に行っていなかった筆者である。油断していると開館20周年記念の企画展「マンモスが渡った橋 氷河期の動物大移動」へ行きそびれるところであった。

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 受け付けのおねいさんの奥にいきなり新顔が控えていた。何を隠そうLACMはミュージアムパーク茨城県自然博物館(長い・・・)の姉妹館なので、開館20周年を記念してLACM 28471の復元キャストが贈られたわけである。科博にも同じものがあるのだが、色が違うとだいぶ印象が異なる。映り込んでいるのが筆者なのは言うまでもない。

 で、うかつにもシンボル展示のひとつである松花江マンモスMammuthus "sungari"の写真を撮りそびれた筆者である。最近になってステップマンモスM. trogontheriiのシノニムになってしまった(いくつかの標本はケナガマンモスM. primigeniusになった)ので注意が必要である。ここの組立骨格がどれになるのかは知らないが・・・。

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 企画展会場に足を踏み入れると、ケナガマンモスの模型が出迎えてくれる。牙をピアノ線で釣っているのは御愛嬌である。

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 常設展から移動してきたケナガマンモスの頭骨(実物)。解説の小ネタが利いている。

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 コマンドウルフベアフャイターベアファイター、キングライガーランスタッグ。そういえばラクダ型っていないや。安西先生、デスキャットが欲しいです・・・

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 忘れちゃいけないコエロドンタ。角が模型なのは言わずもがな。手前のひっくり返してある標本は実物である。

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 スミロドンの幼体と成体の犬歯の比較。この場合、幼体の歯は乳歯という認識で良いのだろうか?

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 手前から順に、ジャイアンジャガーアメリカライオンと言った方がなじみがある)、ダイアウルフ、バイソン。これぞラ・ブレア産といった色である。

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 照明が映り込みまくっているが、ラ・ブレア産のスミロドン(実物)である。実物のくせに、アーマチュアを使わないで容赦なくドリルで穴を開けて組み立てているあたりがさすがのタールピット化石といえよう。

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 手前から、ダイアウルフ、パラミロドン、スミロドンの復元模型。パラミロドンの表情に注目。

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 犬神家の一族(大嘘)

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 パラミロドンの骨格(複製)。徳島で見たメガテリウムにも言えることだが、概してこいつらは鼻面がかわいい。

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 ダイアウルフの骨格(複製)。頭がめちゃくちゃデカいのは多分気のせいではない。
 ちなみに筆者はメックウォリア2だとダイアーウルフ/ダイシよりウォーホーク/マサカリを使っていたクチである。というかぶっちゃけ筆者のスタイルからするとティンバーウルフ/マッドキャットやマッドドッグ/ヴァルチャーの方が使いやすかった(ぇ

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 ランチョ・ラ・ブレアでは唯一となるホモ・サピエンスの化石(女性)。前頭部を骨折しているのがお分かりいただけるだろうか? 
 頭骨の他に、体骨格も一部見つかっているという。

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 手前がサーベルタイガー、奥がセイバータイガー(殴

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 今はもう大人しい影狼と橙 ちなみに筆者はめーりんが好きです(どうでもいい情報)

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 北九州以来の再会となるニホンサイ。キャストだが塗装の雰囲気が非常に良い。

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 常設展から駆り出されてきたナウマンゾウ(印西標本)。オオツノジカはこの角度だと角がものすごいことになっている。

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 まさかのマチカネワニ。頭骨単体を見る機会はあんがい珍しい気がする。展示形態の関係で、西日本では見にくかった下顎もばっちりである。

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 いわくつきのニホンアシカの上腕骨。そのうち論文になるかもしれないしならないかもしれない。

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 ヴェロキラプトルではないのはたぶん間違いないのだが、では何だろうか?(筆者にはひとつ思い当たる節がある。カンの良い読者のみなさまにはそう難しくないだろう) 産地にも要注意である。

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 個人的にこのカウディプテリクスの復元骨格はなんかお気に入りだったりする。

 ~ここから常設展~
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 いつの間にか増えていたイクチオサウルスsp.(見るからに幼体)。周りに散らばっているのはアステロセラスAsteroceras(アンモナイト)。

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 日本でブラック・ビューティーを見られるのは、ここと福井だけである(はず)。奥にデイノニクスの骨格が見える。手前はエウオプロケファルス。

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 またしても胡散臭い「東アジア」産の自称タルボサウルス。見た目は立派だが、実はあまり大きくない標本である。

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 東アジア産第三弾。状態は素晴らしい。

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 ヌオエロサウルスメタセコイア。個人的にこの展示の雰囲気がとても好きである。



 レポートはざっとこんなもんである。実際にはもっと企画展の化石は豊富であり(明らかに写真を撮り忘れたものがいくつかある)、過去の環境変動に関する解説が非常に丁寧で印象的であった。また、時代が時代なので、現生種や現在の動物相の紹介もしっかりしている。また、古人類の展示も少なくなかった。
 ラ・ブレアの化石がメインと見せかけて日本産の哺乳類化石の展示もかなり充実しており、実質二本立てといった感じである。「氷河期」ということで第四紀に限らず古生代までさかのぼって解説されており、ゆえに化石の年代の幅はかなり広かった(カウディプテリクスや“ヴェロキラプトル”もその流れである)。20周年記念企画展ということで、非常に気合いの入った展示であった。

 常設展に関しては、今更ここに書くこともないだろう。恐竜の展示は全体からしてみればおまけのようなものであり(それでもブラックビューティーやら、ほぼ特別展専用のトリケラ頭骨などもあるのだが)、やはりここは自然科学の総合博物館である。館外施設がやたら広いのもここの売りである。
 そんなこんなで、久しぶりに“庭”に戻ってきたような感じで楽しかった(ここの博物館とはいろいろな意味で縁のある筆者。丸1年行ってなかったのでだいぶ展示も変わっていた)。本業の絡みでひとつ重大発見もあって、今年のうちに今度はプライベートではない方でお世話になりそうである。