GET AWAY TRIKE !

恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

When Dinosaurs Roamed Appalachia ①

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白亜紀後期の北アメリ
左:カンパニアン後期 右:マーストリヒチアン後期
North America in Late Cretaceous.
Left, Late Campanian;Right, Late Maastrichtian

 「困ったときのアパラチア」である(殴 別に困窮しているわけではないのだが(どなたか筆者にアンモナイトの分類の知恵を授けていただけるとありがたかったりはする)、色々と新しい資料も手に入ったことだし、一度アパラチアの恐竜について総説的な記事を書いてみたかったところではある。(というか、pixivの新機能を試すついででもある)
 
 本ブログの読者の皆様には今さら言うまでもないが、白亜紀の後期、北アメリカの中央を南北に貫く西部内陸海路(Western Interior Seaway、あるいはナイオブララ海)が存在した。水深はざっと200m弱、最深部でも水深800m弱と浅めの海ではあったが、これによって北米大陸は東西に二分され、生態系もまた二分されることとなったのである。
 白亜紀の末の海退によってWISは閉じたわけだが、WISの誕生(白亜紀の中頃)からその消滅までざっと4000万年ほどの間、北アメリカは西部―――ララミディア大陸―――と東部―――アパラチア大陸―――に分断されていた。

 特にサントニアン以降、ララミディアはララミー変動(「恐竜異説」で聞き覚えのある方もおられよう)によるロッキー山脈の形成によって大量の堆積物供給を受け、多数の陸上生物化石を保存することになった。一方アパラチアは盛んに隆起する地形に乏しく、侵食に耐えるほどの陸成層は発達しなかった。
 それゆえ、アパラチアの陸上生物化石はララミディアと比べて質・量ともにまったく問題にならないほど乏しい。しかし、限られているとはいえ、興味深い化石が東海岸周辺の海成層を中心に知られている。

 アパラチア産の恐竜で命名されているものはララミディア産のものと比べて問題にならないほど乏しく、今日でも有効な学名として生き残っているものはさらにわずかである。しかし、それでも近年状況に変化が見えてきた。今まで何度か記事にしているネタではあるのだが、改めてお付き合い願いたい。