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恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

スティラコサウルスの骨格

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↑スティラコサウルスの模式標本CMN(NMC) 344

 スティラコサウルスと言えば知名度は極めて高いが、意外なほど展示は少ない。復元骨格に至っては、わずかに2体が組み立てられているに過ぎないのだ(キャストを置いてあるところも聞かない)。

 さて、上の写真はスティラコサウルス・アルバーテンシスStyracosaurus albertensisの模式標本なのだが、スティラコサウルスの復元骨格と言えば、恐らくAMNH 5372を思い浮かべる方が多いだろう。
 CMN 344は当初(1913年)頭蓋骨しか発掘されず、1935年になってロイヤル・オンタリオ博物館(ROM)によって残りの部分(ばらけた下顎と体骨格の大部分)が採集された。一方AMNH 5372は1915年に関節した状態で発見され、1937年になって復元骨格(ウォールマウント)の製作と記載(スティラコサウルス・パークシparksiとして記載)が行われている。

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↑スティラコサウルス・“パークシ”の復元骨格 Wikipediaより

 AMNH 5372と言えば丸っこい顔でどことなく愛嬌もある。が、AMNH 5372の頭骨は実質的にはフリルしか保存されていない。
 フリルと下顎を除いた大半が復元によるものであり、実際にスティラコサウルスがここまで丸顔だったかは微妙なところである。(一方で、「鼻筋の通った」CMN 344の頭骨は明らかに上下方向に圧縮されている。どの程度「補正」するかは難しいところ。)また、鼻角に関してはCMN 344やAMNH 5372の「復元」頭骨ほど長くなかった可能性が指摘されている。

 AMNH 5372の体骨格は中位~遠位尾椎を除いてはほぼ完全にそろっており、ケラトプス科角竜のなかでもかなり貴重である。CMN 344もかなり完全な骨格であり、模式標本であることも合わせて重要な標本である。比較的最近になって亜成体のほぼ完全な骨格(関節状態のほぼ完全な尾を含む)も発見されており、これらを合わせると実質的に骨格のすべてが発見されていると言えるだろう。
 
 そんなわけで知名度の割に日本で見る機会は意外と少ないのだが、良質な標本に恵まれている恐竜である。特にCMN 344は最近純骨で組み立て直されており(写真はリニューアル後)、数あるケラトプス科角竜の中で最も正確(ではないかと筆者は勝手に思っている。展示スペースの都合でやや尾は垂らし気味だが)な復元骨格となっている。