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恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

カリフォルニアのサウロロフス

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↑サウロロフス・モリシの頭骨 ウィキペディアより

 サウロロフスと聞いて、あなたはどんな場所を思い浮かべるだろうか。(そもそも「知らん」とか言われると筆者は泣く)
 模式種サウロロフス・オズボーニSaurolophus osborniはカナダ産なのだが、どちらかといえばモンゴル産のS. アングスティロストリスangustirostrisの方が有名だろう。オズボーニの復元骨格は存在しない(模式標本の産状のままのパネルマウントがアメリカ自然史博物館に展示されているが…)が、アングスティロストリスの方はいくつか組み立てられており、日本で見る機会も多いはずだ(福井の常設展示にもなっている)。

 この2種は共に白亜紀後期マーストリヒチアン前期(7200万~6800万年前ごろ)の恐竜であり、恐竜時代の終焉を見届けずに絶滅している。だが、第3のサウロロフスは、ちゃっかり恐竜時代の最期を見届けていたかもしれない。
 1930年代から40年代にかけて、カリフォルニア州のフレスノ郡に広がるモレノMoreno層(マーストリヒチアン後期)から、3体のハドロサウルス類の化石が採集された。うち1体は比較的よく揃った骨格で(保存状態は劣悪だったが…写真参照)、一時期ウォールマウント(要は壁に埋め込んだだけである)としてカリフォルニア技術研究所で展示されていたらしい。
 1973年にcf. Saurolophus sp.として簡単な図示と記載が行われたきりだったのだが、2010年ごろから研究が進み、エドモントサウルスっぽい何か(大意)とされたりしつつも、2011年にサウロロフス属の新種S. モリシmorrisiとする草稿(あくまでも草稿である。大人の事情なのかいまだに掲載には至っていない)が発表された。その後2013年になって掲載された模様である。

 いかんせんモレノ層が海成層だったりそもそもの保存状態が劣悪だったりで、正直なところサウロロフス・モリシについてわかっていることは少ない。一番最後まで生き残っていた種にも関わらず、サウロロフス属の中では最も原始的とされており、サウロロフス属の恐竜が従来知られていたよりも年代・地域的に広範に分布していたことは確かなようだ。

追記:S.モリシについて新属アウグスティノロフスAugustynolophusが提唱された。もっとも、サウロロフス属と近縁なのは変わりないようだ。