GET AWAY TRIKE !

恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

ヘル・クリークの“卵泥棒”

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wikipediaより、“キロステノテス”の一種 "Chirostenotes" sp. の復元骨格


 さて、カエナグナトゥス類、と言ってピンとくる方はどのくらいいるのだろうか。「強化型オヴィラプトル」みたいなもんだと思っておけば大丈夫である。
 「オヴィラプトルが卵泥棒じゃなかった」話についてはさんざん聞いたであろう(断言)からスルーしたい。カエナグナトゥス科はオヴィラプトル科などと共にオヴィラプトロサウリアOviraptorosauriaというグループを形成する。長い後肢に発達した前肢、大きなクチバシと(種類によるが)トサカをもっている。
 
 ヘル・クリーク層からは以前からカエナグナトゥス科の化石が報告されており(化石ショップにもけっこう流れている)、そのうちのいくつかはレプトリンコス・エレガンスLeptorhynchos elegans(カナダのダイナソー・パーク層―――カンパニアン後期―――が模式産地)として同定されている。
 また、大きな部分骨格も2つ(CMNH 78000、78001)知られており、合体させて復元したもの(写真)が「キロステノテスの一種」や「巨大なオヴィラプトル類」といったキャプションを付けて各地で展示されている。基本的に「キロステノテスのレプリカ」は全てこの標本を元にしたものであり、本当にキロステノテスかはかなり怪しい(恐らく新属新種になるだろう)ということに注意されたい。

 「Pearl」がこの「キロステノテスの一種」と同一種かはわからない。ただ、全長4m前後になる大型のカエナグナトゥス類であることは確かだ。
 アジアと北米から知られているカエナグナトゥス類だが、化石が貧弱であるがゆえに研究はあまり進んでいない。「キロステノテスの一種」や「Pearl」の記載が行われれば、カエナグナトゥス類の研究は飛躍的に進むことだろう。

■追記■
 「キロステノテスの一種」はめでたくアンズ―と命名された。結局のところ、Pearlもアンズ―であるらしい。