http://www.nature.com/polopoly_fs/7.13826.1384897016!/image/1.14198_Bonhams_Dueling-dinosaurs.jpg_gen/derivatives/landscape_630/1.14198_Bonhams_Dueling-dinosaurs.jpg
↑産出状態を再現した模型。クリーニング初期の段階で製作されたものであり、角竜の頭部は不正確である。natureより
先日「Montana Dueling Dinosaurs」のオークションが行われたが、結局落札はされなかった。予想落札価格700~900万ドルに対し、550万ドルまでしか値段がつかなかったとのことである。それでもだいぶ吹っかけている気がしなくもないのだが…(何しろクリーニングも終わっていないのである)。
全身が関節していると思しき大型角竜は右半身が地上に露出しており、それなりに風化しつつあった。そしてその足元に、肉食恐竜の関節した尾椎があった。
BHIを加えて行われた発掘で、このサイトの驚くべき状況が明らかとなった。カスモサウルス類と思しき大型角竜が左半身を下にして横たわり、その傍らに「デス・ポーズ」(死後、色々な原因によって、エビぞり状態になって化石化すること)を取った中型獣脚類―――ナノティラヌス―――が転がっていたのである。
大型角竜は、頭から尾までほぼ完全に関節がつながった状態で発見された(これは科博の“レイモンドRaymond”をしのぐ).。また、ナノティラヌスの方も極めて完全な状態であり、腹骨や前肢が完全な状態で残されていた。挙句に、大型角竜には皮膚痕まで残っていた(ナノティラヌスにも残っている可能性があるらしい)。
これだけでも非常に驚くべきことだったのだが、もう一つこの話にはおまけがあった(というか、世間一般にはこちらがメインだろう)。
大型角竜の骨格には、ナノティラヌスの歯が2本刺さっていた。これだけならありふれた話(死体を食べた際に歯が抜けることはよくある)だが、今回は少々事情が違った。
ナノティラヌスの頭骨には、奇妙に歯の欠けた部位が存在した。歯根が歯槽に残っているにも関わらず、なぜか歯冠がへし折れていたのである。これは発掘時の損傷や風化によるものではなかった。そして、角竜の足の周りやナノティラヌスの頭骨周辺から、折れたナノティラヌスの歯がいくつか見つかった。
また、ナノティラヌスの胸部は、まるで「蹴られたように」粉砕されていた。
これらのことが意味することは一つであるように思われた。―――大型角竜とナノティラヌスが相討ちになったのだ―――。
何とも言えない終わり方になったけどとりあえず次回へ続く!