GET AWAY TRIKE !

恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

*●●●なかにいる*

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 新年度である。職探しをしつつ本業にいそしむというのもなかなかしんどい話で、あるいは年貢の納め時なのかもしれない。

 さて、しんどい理由(そしてここのところ妙な感じを匂わせていた)はきちんとあるわけで、上の骨格の主(例によってスケールは1mである)と(夏からずっと)格闘していたのが原因である。実のところ夏の時点でひっそりと(大雑把な)産状図に関しては解禁していた(ついでにクリーニングの済んだ頭骨要素についてもイラストは解禁していた)あたりからも察していただけようが、めでたく近いうちに記載が公表できる見通しとなった。現段階で書いておけることとしては、①北関東の某カンパニアン-マーストリヒチアン(沖合成)から産出、②(骨格図を見ればわかる通り)派生的なティラノサウロイドである、③アパラチアの最上部白亜系産のものとおそらく近縁であり、ティラノサウロイドの進化や分布について一石を投じる、くらいである。
 全長は3.5mほどが関の山のようだが、神経弓と椎体の縫合線は残っており(癒合しかかってはいるようなのだが)、まだ亜成体のようだ。成体になれば5m近くにはなりそうである。頭部は(わりあい派生的なティラノサウロイドにしては)やや小さいようで、このあたりも成長段階と関連しているのかもしれない。
 ユーラシア東部とララミディア、アパラチア間における恐竜の移動は(なんだかんだで複雑だったらしいことが最近指摘されるようになってはいたが)非常に複雑であり、以前のように一口にアパラチアをレフュジアと言い切ることはとてもできない。また、本種の発見は、これまで(中国やモンゴルに代表される)内陸よりのものしか(実質的に)知られていなかった、アジアの白亜紀後期後半の恐竜相に光を当てるものでもある。

本当の意味でもっとマズいものも出ているのだが、とりあえずこいつは出版は当分先になるだろう。幸いにして名乗りを上げている有力な研究者が国内外に複数おり、そういう意味では先行きは安心できるが…)