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恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

American last Sauropods補足

ヤマは越えた(迫真)のでこの先生きのこれば筆者の勝利である(フラグ)。リクエストもあったので、先日のアラモサウルスの記事の補足をしておきたい。
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Pelvic girdle of Maastrichtian sauropods from southwestern USA. 
PMU 24805 and USNM 10487 are not to scale. 

 ブラック・ピークス層産のRough Run標本(TMM 45891)と、ハヴェリナ層最下部産のTMM 40597(現状では不定のティタノサウルス類とされている)とでは、明らかに腰帯の形態が異なる。どちらも大きさはほぼ同じであり、成長段階の違いによる形態の差とは考えにくい。また、Fronimos and Lehman (2014)によれば、性差とも考えにくいという。
 オホ・アラモ層産であるPMU 24805(アラモサウルスの“トポタイプ”)は、長く伸びたpubic peduncleや、前方腹側に伸びたpreacetabular processがTMM 40597と共通する。USNM 10487(アラモサウルスのパラタイプ)は、とりあえずTMM 45891との有意な形態差はみられないようだ。

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↑(Antero)medial views of Illium. Not to scale.

 Fronimos and Lehman (2014)によれば、TMM 45891-12とPMU 24805に共通する特徴として、"dorsoventral ridge above the apex of the acetabulum"が挙げられるという(おそらく内側面に存在するリッジのことを指すと思われる。上図の矢印で示す)。ただ、TMM 40597の内側面の図示はおこなわれておらず、TMM 40597にこのリッジが存在するかも明言されていない。

 記載が見当たらないので(見落としただけかもしれないが)リッジの有無の問題については置いておく。とりあえず、pubic peduncleの相対的な長さやpreacetabular processの形態から、筆者にはPMU 24805とTMM 40597が同じ種に属するように思われる。産出層準も、これを支持するように思われる(PMU 24805とTMM 40597はマーストリヒチアン前期~中期ごろであり、一方でTMM 45891はマーストリヒチアン後期である)。
 厳密に言えばPMU 24805がアラモサウルスかどうかはわからないのだが、模式標本と同じ地層から、ひょっとすると同じ産地から産出した標本である。ゆえに、TMM 40597はアラモサウルスであり、TMM 45891とは異なる種ではないかと筆者は思っているわけである。