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恐竜その他について書き散らかす場末ブログ

アラモサウルス

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 原記載から90年以上が過ぎた今でも、アラモサウルス・サンジュアネンシスAlamosaurus sanjuanensisは北米唯一の派生的ティタノサウルス類として君臨している。最近の動向と合わせ、つらつらとこいつに関して書きたい。

 さて、アラモサウルスの模式産地はニューメキシコのオホ・アラモ層(マーストリヒチアン前期)である。他に、ユタのノース・ホーン層(マーストリヒチアン前期ないし後期)から部分骨格(完全な前肢と、尾椎の大部分ほか)が、テキサスのジャヴェリナ層(マーストリヒチアン前期)、マクラエ層(マーストリヒチアン前期ないし後期)、ブラック・ピークス層(マーストリヒチアン後期?)からも部分的な化石が知られている。特に、ブラック・ピークス産のものは幼体の部分骨格(全長8m強)である。

 近年、ジャヴェリナ層から関節した頸椎と部分的な腰帯が発見され、全身骨格がやっとこさ復元された。それまで22mと推定されていた全長は25mに伸び(要は一回り大きくなった)、従来の復元よりも頸椎がごつくなった。(それまで発見されていた状態の良い頸椎は先述の幼体のものであり、どうやら成長と共に棘突起が大きく発達するということらしい)
 さらに、オホ・アラモ層から発見された頸椎の断片や、メキシコ(アグヤ層)産(の脛骨は異様に巨大であり、これから復元すると全長は30mを超すようである。命名から90年を経て、突如として「最大の恐竜」ランキングに名を連ねる格好となったわけである。

↑左から順にメキシコ産脛骨、ジャヴェリナ産頸椎、ノース・ホーン産部分骨格+α

 というわけで、近年アラモサウルスを取り巻く状況は変化しつつある。「K/Pg境界を越えて生き残っていた可能性(個人的にあまり信用していないが)」が指摘されたり、そうかと思えば生息年代を前にずらす意見(マーストリヒチアン後期→前期)が出たりと、なかなかややこしい。
 系統関係に関して言えば、サルタサウルス科のオピストコエリカウディア亜科に置く説が一般的になった(アンタークトサウルス科に置く意見も一応ある)が、オピストコエリカウディアとはプロポーションがずいぶん違ったりするのも興味深いところである。

 そんなこんなでまとまりのない文になった。記載から90年以上が過ぎ、全身骨格も復元されたアラモサウルスであるが、いまだに多くが謎に包まれている。